税務会計上、なかなか一筋縄ではいかないのが、費用計上日の取り扱いです。今回は、先週に引き続き、費用計上のお話(2回目)です。
前回のお話では、会計上、収入や支出をいつ収益や費用に計上するかという基準には、大きく分けて「発生主義」と「現金主義」があること、費用は基本的に発生主義の考え方で計上日を決めて差し支えはないことをお話いたしました。
今回は、税務における「債務確定主義」という考え方についてお話いたします。
税法や通達には必要経費(損金)にできる費用について「債務の確定しないものを除く」(法人税法22-3)、「その年において債務の確定しているものに限る」(所得税・基本通達37-1)という規定があります。
これは、費用は法的な支払い義務(債務)が確定した場合に限り計上できるという考え方で、1)債務の成立、2)原因事実の発生、3)金額の確定、の3要件が必要だとされています。
たとえば固定資産税の場合、原因事実(資産の所有)や金額(税額)は、その年の1月1日で確定しますが、実際に債務が成立するのは自治体からの「賦課決定通知」がなされる6月(東京都の場合)です。
従って、支払った固定資産税はその6月の含まれる事業年度に費用として計上することになります。
また、先々の費用の見積もり計上である引当金はそもそも債務ですらないため、貸倒引当金と返品調整引当金を除き必要経費(損金)にはできません。
減価償却費も債務ではないという意味では同様ですが、債務確定主義の枠外となっています(法人税法22-3)。
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