法定後見制度とは?

◎相続、遺言、任意後見契約
法定後見制度
法定後見制度
1「後 見」
2「保 佐」
3「補 助」
4 成年後見人等の選任、職務等
5 成年後見監督人制度
6 成年後見人等に対する監督
7 取消の効果と制限
8 審判手続
1「後 見」
(1)「後 見」 とは
 「後見」は、精神上の障害により、判断能力を全くかけているか、ほとんどない状態にある人のための制度です。このような人は、自分の行動の意味や結果を理解できないため、一人で契約などをしたら不利益を被るおそれがあります。そこで、「後見開始の裁判」 を受けた人(「成年年被後見人」)が契約などをした場合には、取り消すことができるものとし(「取消権」)、「成年後見人」が代わって契約などをする権限(「代理権」)を認めて、 不利益を受けないようにしようとするものです。 
(2)「後 見」 を始めるには
 「後見」は、本人が「事理を弁識する能力を欠く状況にある」ときに開始されます。「事理を弁識する能力を欠く」とは、日常の買い物も一人ではできない程度に判断能力が低下している状態をいいます。「常況にある」とは、時折[正常な判断力を回復することがあっても、大体において判断力を欠いている場合を含む趣旨です。 「後見」は自動的に開始するのではなく、本人、配偶者、4親等内の親族などの申立てにより、家庭裁判所が「後見開始の審判」をすることによって開始します(民法7条)。この手続きは、Q7(69ページ)を参照してください。後見を開始するときには、青年後見人が選任されます(民法8条、843条1項。→4)。 
(3)「後 見」 が始まると
本人(成年被後見人)がした行為は取り消すことができます。(民法9条本文。成年後 見人が事前に同意を与えていても、取り消すことができます)。 ただし、食料品、衣料品の購入など、日常生活に関する行為は取り消すことができませ ん。(同条ただし書)。「取り消す」とは、文字どおりはじめからなかったことにすること で、たとえば、本人が土地を著しく安い値段で売却しても、その契約を取り消し、代金 を返却して土地を取り戻すことができます。取り消すことができるのは、本人、成年後  見人です(民法120条1項)。家族でも、成年後見人になっていなければ、取り消すこ とはできません。  他方、成年後見人は本人の財産を管理し、契約や損害賠償請求、遺産分割協議など財 産に関する行為について本人に代わってする権限(「代理権」)をもちます。(民法859 条1項)。たとえば、預貯金を管理し、生活費を捻出するために遊休資産を処分したり、 介護サービス契約を結んだりすることができます。この権限は、あくまで本人のために 行使するもので、後見人が本人の財産を使い込んだら、民事、刑事の責任を生じます。 
(4) 「後 見」 の終了
 「後見」の原因がなくなったとき、すなわち、後に述べる「保佐」程度以上に判断能力 が回復したときは、申立てによって「後見開始の程度以上に判断能力が回復したときは、 申立てによって「後見開始の審判」が取り消されます。(民法10条)。また、本人について「保佐開始の審判」あるいは「補助開始の審判」がなされたときには、申立てをするまでもなく、家庭裁判所の職権(申立てを待たずに、家庭裁判所の発意ですること)で「後見開始の審判」が取り消されることになっています。(民法18条2項)。さらに、 後見開始より前に任意後見契約(→3節)が結ばれていて、「後見開始の審判」をした 後に任意後が始まった(任意後見監督人が選任された)ときにも「後見開始の審判」は取り消されます。(任意後見法4条2項)。
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2「保 佐」
(1)「保 佐」 とは
「保佐」は、取引行為をするには十分な判断能力はないが、その程度が「後見」相当にまでは至っていない人のなめの制度です。本人(被保佐人)が自分で契約することを前提としていますが、一定の重要な行為については援助者(保佐人)の同意を必要とすることとして、本人が不利益を受けることを防ごうとするものです。また、本人の便宜のため、必要に応じて、保佐人に代理権を付与することもできるようになりました。
(2)「保 佐」 をはじめるには
「保佐」を開始するには、本人が「事理を弁識する能力が著しく不十分」な状態にあることが必要です。(民法11条)。具体的には、日常の買い物などは一人でできるが、不動産や自動車の売買などの重要な行為については一人ではできない程度の状態をいいます。  {保佐}は、上記のような状態になると当然に開始するのではなく、「後見」と同様に、本人、配偶者、4親等内の親族などの申立てにより、家庭裁判所が「保佐開始の裁判」  することによって開始します(民法11条)。「保佐」を開始するときには、保佐人が  選任されます。(民法11条の2、876条の2第1項。→4)。
(3)「保 佐」 が始まると
「保佐」は、取引行為をするには十分な判断能力はないが、その程度が「後見」相当にまでは至っていない人のなめの制度です。本人(被保佐人)が自分で契約することを前提としていますが、一定の重要な行為については援助者(保佐人)の同意を必要とすることとして、本人が不利益を受けることを防ごうとするものです。また、本人の便宜のため、必要に応じて、保佐人に代理権を付与することもできるようになりました。
a 同意権・取消権
本人が、不動産や自動車の売買など一定の「重要な行為」をしようとするときは保佐人の同意が必要となり(これを、保佐人の側からとらえて「同意権」といいます)、同意またはこれに代わる家庭裁判所の「許可」を得ずに本人がした行為は本人、保佐人が取り消すことができます。(民法12条4項、120条1項)。 保佐人の同意が必要な行為は、次のとおりですが(民法12条1項)、経済的な取引行為はほとんど該当します。
   仝桔椶領亮、利用(弁済金の受領、賃貸不動産の返還を受けること、金銭、不動 産の返還を受ける
    こと、金銭、不動産の貸付、預貯金の出し入れなど)
  ◆ゞ眩の借入、保証
   不動産その他の重要な財産(自動車、株式、貴金属、ゴルフ会員権、特許権・著作権など)の
    売買、担保の設定など
  ぁ〜幣拗坩
  ァ‖M拭∀族髻仲裁契約
  Α〜蠡海両鞠Аκ棄、遺産分割
  А‖M拭Π簑の拒絶、負担不贈与・遺贈の受諾
  ─/恵曄改築、増築、大修繕(その請負契約等を締結すること)
   長期の賃貸借契約(山林10年、その他の土地は5年、建物は3年、動産は6ヶ月を超えるもの)をすることただし、形式的に上記の各事項に当たっても、それが日常生活に関するものであるときは(たとえば、食費や衣料費に充てるための預金の払戻し)、保佐人の同意は必要ありません(民法12条1項ただし書き)。   また、必要があるときは、家庭裁判所は、「保佐開始の審判」の申立権者、保佐人、保佐監督人の申立てにより、上記,覆い鍬以外の行為についても保佐人の同意を必要とする審判をすることができます(「同意権の拡張」民法12条2項)。この審判は、「保佐開始の審判」と同時にすることも、後に追加的にすることもできます。   なお、本人が不利益を被るおそれがないのに保佐人が同意をしない場合には、本人は家庭裁判所に保佐人の同意に代わる「許可」を求めることができます(同条3項)。本人の自己決定権を保証するものです。
b 代理権
本人が自ら契約をすることが負担であったり、支障がある場合には、家庭裁判所は保佐人に代理権を与えることができます(「代理権付与の審判」民法876条の4第1項)。代理権の付与には本人の同意が必要であり(同条2項)、申立ての範囲内で本人の必要性を考慮して代理権の範囲(「特定の法律行為」)が特定されます。成年後見人のように全面的に代理権を持つわけではありません。 代理権は、婚姻や遺言のように本人でないとできないもの(「一身専属的行為」)を除き、どのような法律行為についても付与することができ医療契約(手術の同意や治療方針の決定は含まれません)などの生活、介護、医療に関する行為のほか、裁判手続、登記申請など公法上の行為についても代理権を付与することができます。 なお、代理権の付与があっても、本人が(保佐人の同意を要する場合は、同意を得て)自ら契約等ができることにかわりありません。
(4)「保 佐」 の終了
本人の精神状態が「補助」相当以上に回復した場合には、申立てにより「保佐開始の審判」が取り消されます(民法13条1項)。また、「補助開始の審判」がなされた場合、逆に障害が進行して「後見開始の審判」がなされた場合には、職権で「保佐開始の審判」が取り消されます(民法18条1,2項)。「保佐開始の裁判」がなされた後に、任意後見が開始した(任意後見監督人が選任された)場合、家庭裁判所の権限で「保佐開始の審判」が取り消されます(任意後見法4条2項)
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3「補 助」 
(1)「補 助」 とは
「補助」は、軽度の精神上の障害を持つ人のための制度です。障害が軽度の人は比較的活動的で、就業しているなど社会と接点を持つことがすくなくありませんが、そのため、かえって悪徳商法などの被害に遭いやすいと指摘されていました。他方で、本人が契約をするのに援助者の同意を必要とするにせよ、援助者が代理できるとするにせよ、本人の行動に対して他人が介入してくるという側面を否定できないため、「自己決定権の尊重」の理念から、「同意・取消」や「代理」という手段で不利益を防止しようとする制度を比較的判断能力の高い人々へ拡張することに批判的な意見も根強くありました。そこで、制度を利用するかどうか、援助の手段(「同意・取消」)か、「代理」か)と範囲をどうするか、本人の意思によるものとしたのが、この「補助」制度です。
(2)「補 助」 を始めるには
「補助」は、「事理弁識能力が不十分な人」を対象とします(民法14条1項)。具体的には、「不動産や自動車の売買のような重要な行為を、一人でできるかもしれないが、心配があるので誰かの援助があった方がよい。」という程度の状況にある人です。
「補助」は、本人、配偶者、4親等内の親族などの申立てより、家庭裁判所が「補助開始の裁判」をすることによって開始します(民法14条1項)。本人以外の申立てによる場合は、本人の同意が必要です(同条2項)。補助を開始するときは、補助人が選任されます(民法15条、876条の7第1項。→4)。
「補助」では「補助開始の審判」がなされるだけでは、具体的な効果(「同意権・取消権」
「代理権」)は出てこず、必ず同時に、後述する「同意権付与の審判」または「代理権付与の審判」のいずれか(両方でもよい)がなされなければなりません(民法14条3項)。本人の状況に応じて、同意権・取消権だけ、代理権だけ、ありいはその両方という選択が可能となり、柔軟な援助が期待できます。
(3)「補 助」 が始まると
a 同意権・取消権
 家庭裁判所は、本人(被補助人)が「特定の行為」をするには補助人の同意をえなければならないと定めることができます(「同意権付与の裁判」民法16条3項)を得ずにした場合には、本人、補助人はこれを取り消すことができます  (同条4項、120条1項)。「同意権付与の裁判」を受けてない(「代理権付与の審判」だけ)場合には、補助人の同意は必要なく、したがって取消権もないことになります。
b 代理権
 家庭裁判所は、補助人に「特定の行為」について代理権を与えることもできます(「代理権付与の裁判」民法876条の9第1項)。この裁判も申立てによってなされ、本人以外の申立てによるときは、本人の同意が必要です(同条2項、876条の4第2項)。代理権が付与される「特定の行為」は、申立ての範囲内で、家庭裁判所が本人の状況に応じて個別的に決定します。代理権については、民法12条1項の範囲内という制限はなく、「保佐」の代理権と同様に財産の管理・処分サービス契約の締結やイリョウヒの支払など)についても付与することができます。なお、代理権の付与がなされても、本人が(同意権付与の審判がなされ、補助人の同意を要する場合は、その同意を得て)自ら契約等ができることはかわりありません。
c 付与の時期、範囲の変更
 「同意権付与の審判」、「代理権付与の審判」とも、「補助開始の審判」と同時にすることも、開始後に追加的にすることもできます。また、「同意権」、「代理権」の範囲も後に追加することができますし、必要がなくなれば一部を取り消すことも、全部(付与の審判自体)を取り消すこともできます。
(4){補 助} の終了
「補助」の特徴として、「同意権付与の審判」「代理権付与の審判」のいずれもとりけされると、「補助開始の審判」自体が取り消されます(民法17条3項)。その他、本人が回復した場合には、申立てによって「補助開始の審判」または「保佐開始の審判」あったとき(民法18条1、2項)、あるいは任意後見を開始(任意後見人を選任)するときは(任意後見法4条2項)、家庭裁判所の職権で「補助開始の裁判」が取り消されます。
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4 成年後見人等の選任、職務等
(1)成年後見人等の選任
 後見、保佐、補助開始の審判(以下、これらをあわせて「後見開始等の審判」といいます)をするときは、家庭裁判所が必ず職権で成年後見人、保佐人、補助人を選任します  (民法843条1項、876条の2第1項、876条の7第1項)。改正前の法律では、配偶者がある場合には配偶者が当然に後見人、保佐人になるものとされていましたが、新法では、すべて家庭裁判所が選任するものとされました。   成年後見人等となるための積極的な資格要件はありませんが、未成年者や破産者、別  のケースで成年後見人などを解任されたことのある人などは成年後見人等になることは  できません(民法847条、876条の2第2項、876条の7第2項)。法人を選任することも可能になりましたが、成年後見人等は本人との個人的な信頼関係が大事ですから、今後も原則としては個人が選らばれるものと思います。また、必要がある場合には  二人以上選任することもできます。
(2)選任の基準
  成年後見人等を選任するにあたって、家庭裁判所は、)椰佑凌歓箸両態、生活・財産の状況、 ∪年後見人等になる者の職業、経歴(法人の場合は、その事業の種類、内容)、K椰佑叛年後見人等になる者(法人の場合は、法人および代表者)との利害下院系の有無、に椰佑琉娶、イ修梁尚貔擇了情、を考慮しなければなりません(民法843条4項、876条の7第2項)。もっとも適任と思われる人を選任するという趣旨です。
(3)成年後見人等の職務、義務
a 職務
成年後見人等はその与えられた同意権・取消権、代理権の範囲において、その職務を行います。前述のように成年後見人は全面的な財産管理権、代理権を持ち、また日常生活に関する行為を除き本人のしたすべての行為について取消し、あるいは、逆に追認(完全に有効なものとすること[民法122条]することができます。保佐人・補助人は一定の範囲で同意権・取消権(追認権も)、代理権を有しています。成年後見人等は、成年後見人等は、それらの権限を本人のために適切に行使しなければなりません。
b 一般的注意義務
新法では、成年後見人等はその職務を行うにあたって本人の 意思を尊重し(「意思尊重義務」)、本人の心身の状態および生活の状況に配慮しなければならない(「身上配慮義務」)ものと定められました(民法858条、876条の5第1項、876の10第1項)。「身上配慮義務」とは、一言で言えば、本人の生活が立ちいくよう配慮しなければならないということです。成年後見人等は自ら介護労働をする義務はありませんが、実際に本人の身の回りの世話をする人がいなければ、その代理権の範囲内で本人が生活や健康を維持していくうえで必要な介護サービスを手配したり、治療を受けることができるように手配する義務があります。
c 個別的義務
成年後見人は、就任後すぐに本人の財産の調査に着手し、1か月以内に調査を終えて財産目録を作成しなければなりません(民法853条1項)。調査が困難な場合には、家庭裁判所に期間の延期を求めることができます。(同項ただし書き)。この調査は、目録の作成には、成年後見監督人がある場合には、その立合いが必要です (同条2項)。保佐人、補助人にはこのような規定はありませんが、家庭裁判所はいつでも財産目録の提出を求めることができるので(民法876条の5第2項、876条1項)、 保佐人、補助人に代理権が付与され、管理対象財産が高額であるときは、財産目録の作成が命じられることがありうるでしょう。  また、成年後見人はその任務が終了したときは、2か月以内に(ただし、家庭裁判所はその期間を伸長できます)に管理の計算をしなければなりません(民法870条)。 成年後見監督人がある場合には、その立会いが必要です(民法871条。)これらの規定は保佐人(民法876条の5第3項)、補助人(民法876の10第2項)にも準用されています。保佐人、補助人はその任務の全部を終了した場合だけでなく、代理権付与の審判が取り消された場合にも管理の計算をしなければならないと考えられます。
d 権限の制限
なお、成年後見人等の権限について、次のような制限があります。
 ゝ鐔四僂良堝飴困僚菠成年後見人等が本人を代理して、本人が居住している(一時入院している場合も含みます)土地、建物を売却したり、抵当権を設定したり、他人に賃貸したり、あるいは賃借している場合に契約を解除するには、家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3、876条の5第2項、876条の10第1項)。
◆)椰佑旅坩戮鯡榲とする債務本人の行為(たとえば、労働や絵を描くことなど)を目的とする債務を発生させるには、本人の同意が必要です(民法859条2項、876条の5第2項、876条の10第1項、824条ただし書き)。本人に同意をするだけの理解力がない場合には、成年後見人等はそもそもそのような契約をすることができません。もっとも、「後見」の場合では本人に同意を与える能力がないのが通常と思われますし、「保佐」、「補助」の場合は、このような契約について代理権が与えられることは少ないとおもわれます。
 利益相反行為本人と成年後見人等の利益が相反する場合には、成年後見人等は本人を代理することはできず、また、保佐人、補助人は同意をすることはできません。 この場合には、成年後見監督人等(→ 5)がある場合には成年後見監督人等が、ない場合には特別代理人、臨時保佐人、臨時補助人がその代理をし、または同意をします(民法860条、826条、876条の2第3項、876条の7第3項)。
(4) 成年後見人等の報酬、費用
  成年後見人等は適切な額の報酬を受けることができます(民法862条、876条の5第2項、876条の10第1項)。報酬を受けるには、家庭裁判所へ報酬付与の裁判の申立をする必要があります(→Q13)。   後見の事務を行うのに必要な費用は、本人の負担です(民法861条の2項、876条の5第2項、876条の10第1項)。成年後見人等は管理する本人の財産から支出することができますし、成年後見人等が立て替えた場合には本人に請求する(管理する財産から直接支払を受ける)ことができます。
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5 成年後見監督人制度
(1) 成年後見監督人
 成年後見人は幅広い権限をもちますので、その権限の濫用に対しては、十分な配慮が必要です。成年後見人に対しては家庭裁判所が指導、監督を行いますが、(→6)、本人の財産が巨額より細やかな監督が必要な場合や、成年後見人に対して助言等が必要な場合には後見監督人を選任することができます(民法849条の2)。  成年後見監督人は、次の職務を行います(民法851条)。
 \年後見人の事務を監督すること
◆\年後見人が欠けた場合(死亡したとき、破産宣告を受けたときなど)には、
  遅滞なく後任者を選任を家庭裁判所に請求すること
 急迫な事情がある場合に、必要な処分をすること(成年後見人が急病になったり、
  海外にいるときなどに、本人に必要な契約をすることなど)
ぁ\年後見人またはその代表する者と本人の利益が相反する場合に、本人を代理すること
  成年後見監督人は、家庭裁判所の決定(「審判」)により報酬を受けることができます
  (民法852条、862条)。
  なお、成年後見監督人がある場合には、成年後見人は、本人を代表して「元本の領収」
以外の民法12条1項に定める行為(「保佐」において、保佐人の同意を要する行為)をするには、成年後見監督人の同意を得なければなりません(民法864条)。同意を得ずに行った場合は、本人成年後見人はこれを取り消すことができます(民法865条)。成年後見監督人には取消権はありません。
(2) 保佐監督人、補助監督人
 保佐人、補助人も代理権を持つことがあり、また本人の生活、健康に対する配慮義務も規定されたことから、その権限が濫用されると本人に大きな損害や危険をもたらすおそれがあります。そこで、新法では「保佐」、「補助」にも監督人制度を設けました (「保佐監督人」民法876条の3第1項、「補助監督人」876条の8第1項)。その職務内容は、後見監督人と同様です(民法876条の3第2項、876条の8第2項)。ただし、利益相反行為(上記ぁ砲砲弔い討蓮∨椰佑鯊緲するほか(代理権の付与がある場合)、本人に同意を与える(補助については、同意権付与がある場合)ことも含まれます。  なお、「保佐」、「補助」については民法864条の準用はなく、保佐人、補助人が本人を代理して民法12条1項に規定する行為をするにも保佐監督人、補助監督人の同意を得る必要性はありません。保佐人、補助人の代理権は一部に限られ、家庭裁判所が個別に判断して代理権を付与していますので、さらに監督人の同意を得ることまでは必要ないと判断されたためです。
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6 成年後見人等に対する監督
家庭裁判所は、成年後見人等に対して、一般的な指導、監督権限を有しています。 民法は、具体的な規定として、863条を置き、「保佐」には876条の5第2項で「補助」には876条の10第1項でこれを準用しています。すなわち、家庭裁判所は、 いつでも成年後見ん人等に対して後見等の事務の報告、財産目録の提出を求め、後見 等の事務、財産の状況を調査することができ、また、財産の管理その他後見等の事務に関して必要な処分を命じることができます。たとえば、後見等の事務に関して必要な処分を命じることができます。また、親族等から苦情等が寄せられたような場合には、成年後見人等にていきに事務の報告をするよう定めたり、財産の管理方法を指定することができます。また、親族等から苦情等が寄せられたような場合には、成年後見人等から事情を聞いたり、家庭裁判所調査官や公認会計士などに調査をさせることができます(家事裁判規則88条1項、3項、93条の2第1項、第3項)。  また、成年後見監督人等がある場合には、成年後見監督人等もまた成年後見人等の監督にあたることは、5で述べたとおりです。  成年後見人等に不正な行為、著しい不行跡(行いが悪いこと)、その他後見等の任務に適さない事由があるときは、家庭裁判所は、成年後見監督人等、本人、その親族、検査官の請求により、または職権で成年後見人等を解任することができます(民法846条、876条の2第2項、876条の7第2項)。
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7 取消の効果と制限
(1) 取消の効果
 成年被後見人等がした売買などの行為を取り消した場合、その行為は初めからなかったものとして取り扱われます。たとえば成年被後見人等が不動産を売却した場合、代金の支払い、所有権移転登記・引渡がまだなされていなければ、取消をすれば何らの契約上の義務を生じません。代金の支払、所有権移転登記・引渡がなされていれば、成年被後見人の側は、受領した代金を返却して所有権移転登記の抹消と不動産の返還を求めることができます。また、預金の払戻が取り消されると、銀行は残高を元に戻し、成年被後見人等は払戻した金銭を銀行へ返還しなければなりません。  このように、契約等を取り消した場合、受領した金銭や物を相手方に全部返還するのが原則ですが、成年被後見人等は「現に利益を受けている限度」で返還すればよいものとされています(民法121条ただし書き。この範囲を「現存利益」といいます)。「現に利益を受けている限度」とは、簡単にいえば、実際に手元にその利益ないし勝ちが残っている限度という意味です。たとえば、成年被後見人等が受領した売買代金がなかったので、生活費に使った分も「現存利益」が残っています。これに対して、ギャンブルに使った場合には「現存利益」はないと考えられており、その分は返還しなくてもよいことになります。 払い戻した預金を騙し取られた場合も、同様に「現存利益」はないと考えてよいでしょう。  ただし、「現存利益」がないことは、すなわち、ギャンブルに使ってしまったり、騙しとられたことは、成年被後見人の側で証明しなければなりません。
(2) 取消権の制限
 成年被後見人等が、「能力者」であることを相手方に信じさせるために「詐術」を使った場合は、取り消すことができません(民法20条)。 このような場合には、成年被後見人等を保護する必要性がないと考えれるからです。  「能力者」とは一人で完全に有効な行為ができる人、すなわち、成年被後見人、被保佐人、同意権付与のある被補助人でない人をいいます(反対に、成年被後見人、被保佐人、同意権付与のある補助人を「制限能力者」という)。また、被保佐人、被補助人の場合、保佐人、補助人の同意があると装う場合も含まれます。  「詐術」とは、一言でいえば騙すことです。積極的に「能力者」であると発言する場合だけでなく、単に黙っていただけでも、成年被後見人等の他の言動とあわせて、相手方に「能力者」であると誤信させた場合も該当します。  ただし、「詐術」と言えるためには、成年被後見人等の側に「騙す」意図が必要です。成年被後見人等の判断能力から考えると、実際上、成年被後見人等が騙す意図を持って行動できる場合はほとんど想定できないであろうと思います。
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8 審判手続
(1) 申立権者
 後見開始等の審判の申立ができるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、他の類型の援助者(「後見開始の審判」)であれば、保佐人、補助人)・監督人、未成年後見人・監督人および検察官です(民法7条、11条、14条1項)。また、3章で説明する任意後見制度に おける任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人にも申立権があります(任意後見法10条2項)。さらに、本人のために特に必要がある場合には、市町村長(東京23区の区長を含む)にも申立権が認められました(老人福祉法32条、知的障害者福祉法27条の3、精神保健福祉法51条の11の2)。
(2) 裁判手続
 後見開始等の審判は、家庭裁判所において、家事審判手続によってなされます。審判の申立は、通常は申立書を提出して行います。  申立てがあると、「後見」、「保佐」の場合には、まず、鑑定がなされます。「補助」の場合は鑑定はありません。平行して、家庭裁判所調査官が本人と面会して本人の状況や本人の意向を確認します。また、申立人や親族、その他の関係者から事情を聴取します。これら調査官の面接、聴取(「調査」)は、通常は家庭裁判所でなされますが、健康上の理由などで本人が裁判所まで出向けない場合には、調査官の方が出張してきます。さらに必要があれば、家事裁判官(裁判官)が直接本人、申立人などから聴取(「審問」)を行います。このような調査、審問の結果、並びに鑑定結果、診断書の内容などを家事審判官が総合的に判断して、結論を出します。  審判がなされるまでの期間は、「後見」、「保佐」では大体2〜3カ月程度と見込まれますが、鑑定が早くなされれば、より短くなります。「補助」の場合は鑑定がないぶんだけ短くなり、1〜2カ月程度と見込まれます。
(3) 不服申立
 家庭裁判所が出した結論に不服があれば、高等裁判所に不服申立(「即時抗告」)ができます(抗告状は審判をした家庭裁判所に提出する)。 後見等の開始を認めた(「許容」)審判に対しては、上記の申立権者(ただし、市長村長を除く)が、申立てを却下する裁判に対しては申立人が、それぞれ即時勧告をすることができます。即時抗告ができる期間は2週間です。
(4)審判前の保全処分
 上記のとおり審判手続は通常2〜3カ月を要し、また即時抗告されたらさらにその審理の期間が加わります。その間、財産が散逸したり、本人が不利益な契約をして損害を受けることが考えられますが、そのようなおそれのある場合には「審判前の保全処分」を求めることができます。  すなわち、後見開始等の審判の申立てがなされた場合において、本人の財産の管理または本人の監護のため必要があるときは、家庭裁判所は、申立人からの申立てまたは職権(家庭裁判所の発意)で「財産の管理人」を選任し、あるいは本人の財産の管理、本人の監護に関する事項を指示する保全処分を発令することができます(家事審判規則23条1項、30条1項、30条の8第1項)。さらに、本人の財産保全のために特に必要があると認められるときには、家庭裁判所は、「財産の管理人」の後見、保佐、補助(同意権付与の申立をしている場合に限る)を受けることを命ずる保全処分をすることができます(家事審判規則23条2項、30条2項、30条の8第2項)。この保全処分(後見命令、保佐命令、補助命令)が出されると、後見開始等の申立てに対する結論が出るまで臨時に「後見」、「保佐」、「補助」に規定する同意権・取消権(補助命令は、同意権付与の申立をしている範囲について)が認められます。
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