単なる売上推移や損益計算書では、どこが傷んでいるのかが見えてきません。トータルで赤字であっても根本原因を突き止める必要があります。そのため、相談・依頼があった場合は、まず部門別損益を出してもらいます。
単一事業の場合は良いですが、複数の事業を行われていたり、あるいは部門が分かれている場合などはそれぞれの損益を出してもらいます。
ただし、本部費や共通経費が出てきます。それは案分します。案分の方法はいくつかあります。
1.売上構成比で案分する
2.減価償却費で案分する
3.利益額で案分する
4.社員数で案分する
これと言った決まりごとはないです。実体にピッタリ合うものを選択されてはと思います。税務会計ではなく、実体を把握するためのデータ分析ですので柔軟にお考えいただければと思います。
すべての経費を部門ごとに分けますので、担当者の方は少し厄介だと思います。今までそんなことをしたことがないと思いますので、負担が少し増えます。でも一度やってみられるとそんなに難しいことではないので、慣れるとスピードはアップすると思います。愚痴が出るかもしれませんが、そこは頑張って数値を出してみて下さい。
それで、部門別損益が出たとします。何を見るかですが、概ね以下の点をチェックさせていただきます。
1.部門ごとの伸びしろ(実際に後どれくらい売上アップが可能か?)
2.部門ごとの損益分岐点
3.部門ごとの適正人員数
4.部門ごとの原価率(粗利率)の見直し
今後どこを強化し、どこを縮小・撤退するのかを見極めます。ただし、赤字だからと言って即撤退という訳ではないです。現在赤字であっても再生が可能かどうか、少なくとも3年後黒字化できるかどうかで判断します。
赤字であっても他の事業との兼ね合いで止めることができないものについては、極力赤字幅が大きくならないように対策を打ちます。
でも一度部門別損益を出してみるといろんなことが見えてくると思います。部門別に売上や利益のデータはあると思いますが、部門別の諸経費は出されていないところが多いです。どのような経費の使い方をしているのか一目でわかります。
再生と言えば、まず諸経費のカットからです。この部門別損益から、どの経費を削って行くのかを議論します。総勘定元帳も出していただき、1件ずつすべてチェックを入れます。何か監査にでも入られたようで、あまり良い気持ちではないかもしれませんがこれが非常に大事です。
部門別損益から損益計算書の再生・整理を行わない限り未来が見えてきません。甘い体質から脱却するためにも、部門別損益は重要です。
このデータがすぐに出れば再生は速いと思います。
細かくきっちり出さなくても実体が見えていれば十分です。
経理担当の方の協力を得て、このデータをまず出すことが再生の第一歩だと考えています。
ビジネスコラム提供者情報
- コンサルタント:経営
- 株式会社 武内コンサルティング
- 大阪府東大阪市長栄寺11-5-804
大学を卒業後、経営コンサルタントで知られる船井総合研究所で 17年間お世話になり、平成19年10月1日より独立・開業いたしました。 事業内容・行動内容は、中小企業様・個人店様対象の現場密着型の コテコテ経営コンサルタントです。 独立 …
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