歳出に必要な資金を税収で賄うことができない場合、経済活動を停滞させないためにも、政府は、余裕資金のあるところに利子を払って資金を借りるしかない。その資金を借りる手段として用いられるのが国債の発行である。
国債の発行は、いうなれば国の借金であり、無計画に発行されるものではない。
交通・通信網の整備をはじめ、住みやすい国にしていくためには巨額の投資資金が必要となる。それは1年毎の予算の範囲で支出できる規模を超える場合もある。将来の納税者が出来上がった設備・施設の恩恵を受けるので、現在の納税者は税負担を考えてしまうが、将来の税金を負担する方が、一時的に重税をかけられるより公平であるといえる。
また、将来的に社会基盤が整備されれば、産業の育成や豊かな国民生活にプラスとなるので、将来の税収入が増える要因となる。
つまり国債の発行は、本来経済発展のための先行投資として必要な資金を調達するためのものであった。このような目的のために発行される国債を「建設国債」と呼ぶ。
経済発展のための先行投資ではなく、国家財政の赤字を補うために発行される国債を「特例国債」と呼んでいる。「特例国債」を「赤字国債」と呼ぶこともある。
国債が長期資金の借入だといっても、やがて償還日がきて元金の返済をしなくてはならない。その時、財源に余裕がなければ、期限のきた国債を償還するために、また国債を発行することになる。現在、建設国債も含めて、日本の国債発行残高は増加し続けている。
満期を迎えた国債の償還は、毎年、支出となって表れている。歳出の中で「国債費」という項目が、償還日を迎えた国債の償還金にあてる部分である。
歳入の「公債金収入」が借入金にあたる新規国債発行による資金調達である。つまり、歳入の「公債金収入」が「借金」に、歳出の「国債費」が「借金返済」にあたる。
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