カルテルとは

カルテル(ドイツ語 Kartell)とは、企業(事業者)間で価格や生産数量、販売地域などを協定することである。

==概要==
日本の独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)は、これを不当な取引制限として禁止している(独禁3条後段)。独占禁止法の適用除外として不況カルテルや合理化カルテルが認められ、カルテル価格が公認されることもあったが、適用除外制度の見直しとして、不況カルテル制度及び合理化カルテル制度の廃止(1999年|平成十一年7月23日|七月二十三日施行)並びに商工組合の経営安定カルテル制度及び合理化カルテル制度の廃止(2000年|平成十二年3月2日|三月二日施行)が行われた。

また、公共事業などにおける競争入札の際、複数の入札参加者が前もって相談し入札価格や落札者などを協定しておく談合と呼ばれる商慣習も、今日では企業間の自由な競争を阻害するカルテルの一種として扱われる。

余談だが、台湾では大日本帝国の統治下にあった時代、「談合」が訛って伝えられ「団子(をこねる)」という同じ意味の言葉で広まっている。

==形態==
発覚すれば当然違法となる「ハードコア・カルテル」と、ハードコア・カルテルではないにしても、性質からカルテルに含まれる「非ハードコア・カルテル」という、大別して二つの形態に分けられる。

===ハードコア・カルテル===
;価格カルテル
:カルテルに参加する企業同士で話し合いなどを行って価格を決定し、不当に利益を上げる形態。
:最も有効的な競争制限手段と言われており、その違法性も当然ながら高い。
;数量制限カルテル
:カルテルに参加する企業が労働力や設備稼働時間などの削減を行い、生産量や販売量を調整する形態。
:供給量を調整することで価格を引き上げやすくなるような、需要が一定している産業で起こりやすい。
;設備制限カルテル
:工場にある既存の設備を削減したり、新規設備の購入を制限したりする形態。
:性質としては、数量制限カルテルに近い。
;販路カルテル
:カルテルに参加する企業同士で、取引の相手先や取引地域などを予め決定してしまう形態。
:カルテルに参加する企業同士での競合を避ける意味合いがある。

===非ハードコア・カルテル===
;特許カルテル
:生産技術などで特許を保有している企業同士が組み、それぞれが特許使用権を供出して、その中で自由に特許が使用できる形態。
:俗に「パテント・プール」などとも呼ぶが、このような企業同士が特許権を共有するという行為は実際、よく行われており、これ自体が即、カルテルとしてみなされるというものではないが、共有者同士でしか使えないような仕組みになっている場合には、カルテルとして違法性が生じてくる。
;製品制限カルテル
:カルテル参加企業同士で統一した規格を作成したり、特定の品種の製品のみを生産したりする形態。
:合理化に役立つなど違法性は弱いと言われているが、技術革新の妨げになったり価格維持に使用されたりするケースもあり、違法性を指摘する声もある。
;割当カルテル
:同業他社同士で出資して何らかの中央機関(メーカーなら、その出資企業の製品を専属的に売る販売会社など)を作成し、そこで販売量や利潤分配、供給量などの調整を行う形態。
:その中央機関が単なる「共同出資会社」としてのみ機能していれば問題はないが、その共同出資会社が力をつけ、逆に出資会社の方を支配するようになると、価格や販売量の不当な調整が行われるようになってしまうため、カルテルとしてみなされる。

その他には、特別な形態として、シンジケートや紳士協定もカルテルに含む場合もある。

なお、航空業界等の新規参入が困難な業種において、競合他社がサービスの後追いを行うことが常態化したことによって他社との差別化が出来なくなり結果として値段も恒常化してカルテルと揶揄される状況を招くこともしばしばある。(日本における日本航空と全日空、クアラルンプール=シンガポール間におけるシンガポール航空とマレーシア航空の関係など)

== 談合 ==
===入札妨害===
競争入札|入札は官公庁の発注工事などで見積最低価格の業者に発注するべく行われるものであるが、指名された業者が示し合わせ、特定の業者を受注させるべく談合し、それ以外の業者が特定の業者の価格を上回る札を入れる行為が入札妨害の談合といわれる。結果的に発注価格が高止まりするとされるが、そもそも、指名競争にさせる段階で、安く施工させようという姿勢に欠ける発注者の問題がある。一般競争で技術力を評価できない発注者が、工事の内容や品質保証を行うこと自体当事者能力に欠けていると考えられる。不当に安い見積もりであっても、工事の正当性を管理監督したうえで、品質保証(安全も工期も)を確保するべく一般競争入札を実行すれば、談合行為は行えなくなる。2003年以降、電子入札が普及し入札業者が増えてくる傾向にあるので、発注者は当事者能力と技術力を高めて行く必要がある。

===官製談合===
公共事業などで、競争入札が義務づけられているにもかかわらず発注者が受注者を指名するなど、発注者側(行政などの「官」)がカルテルを主導する場合を官製談合という。通常は天下り先の提供や金品など、賄賂|贈収賄や便宜供与を伴う。新潟市では2001年、下水道工事をめぐる発注で不正と思われる入札があり、その後の調査で過去から幾度にも渡って官製談合があったことが発覚し、2003年9月に大手ゼネコンや地元業者、市役所などが立ち入り検査された。また、2004年には113社の業者に対し排除勧告をし、職員や業者が数名逮捕された。

2006年には、福島県と和歌山県と宮崎県で相次いで官製談合事件が発覚した。各県とも都道府県知事|知事が特定業者に落札させる入札妨害を行い、10月に福島県佐藤栄佐久、11月に和歌山県木村良樹、12月に宮崎県安藤忠恕と、3ヶ月の間に3人の知事が逮捕されるという異例の事態となった(逮捕時点では、木村以外は知事を辞職し、木村も逮捕後に辞職している)。

これを受け、談合に関与した公務員への罰則などを新たに設けた『官製談合防止法改正案』が予定よりも早く2006年12月8日に可決、可決後3ヶ月以内に施行されることとなった。

==新聞の特殊指定==
新聞販売で、乱売や過度の競争を排除するために、行われているカルテル。これは新聞特殊指定という形で法規制から除外されているが、公正取引委員会がその見直しを求めている。

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 GNU Free Documentation License.

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