演繹(えんえき、ラテン語 deducere)は、一般的・普遍的な前提からより個別的・特殊的な結論を得る推論方法である。対義語は帰納。帰納の導出関係は蓋然的に正しいのみだが、演繹の導出関係は前提を認めるなら絶対的、必然的に正しい。したがって実際上は、前提が間違っていたり適切でない前提が用いられれば、誤った結論が導き出されることがある。近代的には、演繹法とは記号論理学によって記述できる論法の事を指す。
==具体例==
例えば、物体が落下するとき、重いものが早く落ちるのはかつての常識であった。これに対してくわしい実験からガリレオ・ガリレイは物体の落下時間が質量に比例するものではないことを示した。これは帰納的な判断である。また、ここから彼は物体の落下速度は質量にかかわらず一定だろうと判断した。これは予想である。その後、様々な実験や研究から物体がそれに従うべき法則として万有引力の法則や運動の法則が設定された。これが認められた後は、物体を落下させる実験を行わなくても、その落下時間は計算できるし、全く異なる条件下、たとえば金星で同じ実験を行った場合の結果についても値を得られる。これが演繹的な判断である。仮に実験結果が異なった値を取れば、実験の失敗を疑うか、そこに差を与える他の要素を探求することになろう。なぜならば、その実験の範囲では、前提とする法則が正しいものと判断できた上での結果だからである。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 GNU Free Documentation License.
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