著作権に関する世界知的所有権機関条約とは

著作権に関する世界知的所有権機関条約(英語|英:World Intellectual Property Organization Copyright Treaty)、略:WIPO著作権条約またはWCTは、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定|TRIPS協定から一段進み、インターネットやインタラクティブ送信等の情報通信技術の発達に対応すべく制定された、国際的な著作権の保護に関する条約である。世界知的所有権機関の提唱で1996年に作成され、2000年に発効した。日本は2002年3月にこの条約に加入した。

譲渡権・貸与権についても規定しているが、ベルヌ条約より一段高いデジタルコンテンツの保護、すなわちプログラムとデータベースの著作物の保護、および双方向性送信(インタラクティブ通信)について明確に規定しているのが最大の特徴である。ベルヌ条約と同様に、内国民待遇、無方式主義、遡及型となっている。

著作権に関する条約には、このほかにベルヌ条約、万国著作権条約、TRIPS協定が存在する。

==概要==
この条約は第6章から第8章までで、ベルヌ条約などの既存の条約・協定が単独で保護できない可能性のある事項(著作権物の譲渡・貸与、インタラクティブ送信)について規定している。また、第11章においては技術的な保護手段について、第12章では著作物の保護情報を未許可で変更することを禁止する規定を含んでいる。このように、デジタルコンテンツの保護を重点においており、その他の部分はベルヌ条約を超えるものではない。

==諸国における対応==
WIPO著作権条約は、アメリカ合衆国においては1998年10月のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)で実施されている。ヨーロッパでは欧州共同体|ECが2000年3月16日の決定によって条約を承認し、欧州連合|EUが91/250/ECでソフトウェアの著作権保護について、96/9/ECでデータベースの著作権保護について、さらに2001/29/ECでデジタル的に保護された著作物の保護を解除する手段の禁止について規定した指令を採択している。日本においては著作権法を改正するとともに、デジタル的保護手段の回避については不正競争防止法で禁止事項を規定している。

WIPO著作権条約は、ベルヌ条約の規定を超えた著作権保護期間の延長を規定していない。このため、各国は国内法により独自に著作権保護期間の延長を行っている。アメリカ合衆国においては、デジタルミレニアム著作権法と著作権延長法(いわゆるソニー・ボノ法)の両法をほぼ同時に成立させ、著作権期間の延長を行った。この際の採決は、マスコミに報道されないように発声採決で行われた。また、EUにおいてもほぼ同時期に同様の期間延長を行う欧州連合域内における著作権保護期間の調和に関する指令が成立している。

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 GNU Free Documentation License.

経営に関する人気コラム一覧

ビジネス用語・経営用語辞典カテゴリ

経営者支援コンテンツ

比較ビズで一括見積もりしませんか?

会員メニュー

おすすめコンテンツ

経営マガジンへの掲載

▲ページTOP