工業所有権(こうぎょうしょゆうけん)とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの総称である。知的財産権(あるいは無体財産権)の領域のひとつであり、主として企業活動に関するものを含む。現在では後記する理由から、産業財産権(さんぎょうざいさんけん)と呼ばれることが多い。
== 工業所有権の定義 ==
=== パリ条約 ===
工業所有権の保護に関するパリ条約(ストックホルム改正条約)第1条では、工業所有権を以下のように定義している。
: (2) 工業所有権の保護は、特許、実用新案、意匠、商標、サービス・マーク、商号、原産地表示又は原産地名称及び不正競争の防止に関するものとする。
: (3) 工業所有権の語は、最も広義に解釈するものとし、本来の工業及び商業のみならず、農業及び採取産業の分野並びに製造した又は天然のすべての産品(例えば、ぶどう酒、穀物、たばこの葉、果実、家畜、鉱物、鉱水、ビール、花、穀粉)についても用いられる。
これによれば、工業所有権は、工業に関する特許、実用新案、意匠だけでなく、商業に関する商標、サービス・マーク、商号、原産地表示、原産地名称や不正競争の防止を含むものであり、それのみならず、農業及び採取産業の分野並びに製造した又は天然のすべての産品についても用いられる語とされる。
=== 日本 ===
日本の法令では、法律や組織の名称に「工業所有権」の語を用いたものはあるが、「工業所有権」について明示的に定義したものはない。
2002年に策定された知的財産戦略大綱は、
: 「工業所有権」という用語は、主として特許権、実用新案権、意匠権及び商標権を指すものとして用いられているが、これらの中には、農業・鉱業・商業等の工業以外の産業に関する知的財産も含まれている。
としている。
また、特許庁では、自らが所管する特許権、実用新案権、意匠権及び商標権を産業財産権としている。特許庁が所管する工業所有権に関する手続等の特例に関する法律も、工業所有権についての明確な定義は置いていないものの、特許法、実用新案法、意匠法、商標法及び特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律|国際出願法に定める手続を対象としており、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権を工業所有権ととらえていると考えられる。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 GNU Free Documentation License.
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