連結納税(れんけつのうぜい)とは、経済実態上は一体とみなしうる企業グループ(例えば親会社とその100%子会社、孫会社等)を課税上も一体の組織とみなして取り扱う制度である。国により制度の仕組みがまちまちであるものの、アメリカ合衆国|アメリカ、フランス、ドイツ、イギリスなどではそれぞれ長い歴史を持っている。また、近年日本やオーストラリアでも導入された。== 企業会計との関連 ==
連結納税制度と会計分野における連結会計とは、その手法や目的が異なるため、例えば連結会計における連結利益を基礎として課税連結所得を算出するようなことはない。
連結会計においては、子会社の範囲は実質支配基準に基き、親会社の持株比率が過半数であれば原則として子会社に該当することとされる。
連結納税制度においては、子会社とは親会社の持株比率が100%である会社に限られる。
== 日本の連結納税制度 ==
日本では、平成14年度に導入された。制度としては、アメリカ型の本格的な連結納税制度であるが、随所に日本独自の規定が散りばめられている。
連結納税を行おうとする親会社と全ての100%子会社は、連結事業年度開始の6ヶ月前に連名で申請することとされている。グループとしては選択制であるが、全ての100%子会社が対象となる意味で強制連結である。なお、アメリカにおいては事前の申請は必要とされておらず、連結申告書の提出があると、全ての連結法人の合意があったものとみなされることとされている。
申請が承認(みなし承認の場合もある)されると、親会社は連結親法人、子会社は連結子法人と呼ばれる。
連結納税の適用開始に当たっては、親会社に5年以上株式を長期保有されている子会社など一定の子会社を除き、原則として子会社の有する繰越欠損金を連結申告において損金の額に算入できない。これは、赤字子会社を安く買収して連結グループにおいて欠損金を損益通算することを防止する目的とされている。
また、その子会社が有する一定金額以上の資産を時価評価することが必要とされる。これも、多額の含み損を抱える法人を安く買収して、連結グループに加入後に売却損を計上するなどの租税回避に対抗するためとされる。これらは、日本の連結納税制度の一特徴である。
連結法人間での資産の譲渡の損益調整については、アメリカほど厳密な制度とはしておらず、資産に金額基準を設けているほか、棚卸資産については調整対象外としている。また、減価償却資産、繰延資産については、譲渡先の償却費計上の金額に係らず繰延損益を機械的に取り戻す簡便法が認められている。
グループ計算を行う項目としては、受取配当等の益金不算入額、寄附金の損金不算入額、交際費等の損金不算入額、外国税額控除制度における控除限度額計算がある。また、租税特別措置法における各種所得控除においても、各連結法人ごとの限度額のほかに、グループ全体での所得控除上限が設けられている。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 GNU Free Documentation License.
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