のれん代とは

のれん代(のれんだい)は企業の無形資産の一種であり、具体的にはのれんとして連結貸借対照表もしくは貸借対照表にそれぞれ計上される。会社法適用以前には、連結決算では連結調整勘定として、単体決算では「営業権」として表示され計上されていた。企業の買収や合併の際に、買収された企業の純資産と買収価額(時価総額)との差額がのれん代として計上される。のれん代の会計上の処理方法が企業のM&A戦略に大きな影響を与えることもある。

==概要==

合併などの企業再編(企業結合)に関する会計処理方法は、パーチェス法と持分プーリング法の2種類がある。このうちパーチェス法はある企業が他の企業を取得(買収)したと判定される場合に適用され、被合併企業の資産・負債を時価で引き継ぐものであるが、この方法を適用したときにのれん代が発生する。

被取得企業の純資産と時価総額は通常一致しない。たとえば、高いブランド価値を持った企業などであれば、その企業の持つ純資産よりも大きな時価総額を持つ場合がある。これは、その企業が培ってきた信用やブランドイメージなどが無形の価値(超過収益力)を持っていると評価されているためである。

パーチェス法に従って会計処理する場合、貸借対照表の資本には被取得企業の時価総額が計上される。すると資産(および負債)に計上されるこの企業の純資産とのあいだに差額が生じる。この差額は無形財産として資産に計上される。ブランド価値などを反映しているものという意味でこれがのれん代と呼ばれることになる。

時価総額の方が純資産よりも小さければ、のれん代は「負ののれん代」となり負債として計上される。

==償却==

欧米ではのれん代の償却が認められておらず、のれん代の持つ収益性が失われたと判断された時点で減損処理することとされている。この方式では企業結合を繰り返す企業の貸借対照表に巨額ののれん代が蓄積されていくことや、収益悪化が続くと(ブランド価値はもう失われたとして)突然巨額の減損処理が発生することがあるなどのデメリットがある。

日本ではのれん代の扱いに関する規定があいまいであるという問題があった。2005年までは、旧商法(現会社法)では5年以内に、連結財務諸表原則では20年以内に償却するよう定められているなどルールも統一されていなかった。

結果として買収の際に特別損失として一括償却する企業も増えてきた。しかしこの方式では、買収年度には大きな損失が発生するものの、次年度以降にはのれん価値が見えなくなったまま営業効果は持続しているという矛盾が発生するため、業績を正しく反映しなくなってしまうおそれがある。

そのため、2006年度よりのれん代の一括償却は原則禁止されることになった。のれん価値の持続すると思われる期間(20年以内)にわたり規則的に償却し、各期の償却額は販売費及び一般管理費として計上する。

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 GNU Free Documentation License.

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