企業の資金調達には2つの源泉があり、ひとつは借入金・社債といった他人資本、もうひとつは出資による自己資本である。他人資本の出し手(主に市中銀行など)は調達に際して返済方法や返済期限が明らかにされ、さらに必要であれば担保を要求できるなど自己資本の出し手に比べれば明らかに有利な条件で企業に資本提供できるため、その見返りとなる利息は自己資本への配当等よりも低くなる。また、会社が倒産した場合には借入金の債権者や社債権者には回収された会社資産から優先して配当がなされるが、株主にはその残余があった場合にのみ残余財産請求権が認められるだけで、この点でも自己資本の出し手は高いリターンを要求することが予想される。
この点からは、会社の資金調達は他人資本によることが合理的と見られるが、財務比率、とくに自己資本比率の悪い企業に対しては倒産リスクが付きまとうことから一般的なコーポレートファイナンス理論を前提にする場合、一定の自己資本を維持しながらでなければ借入れを行うことは困難であるとされる。こうした倒産リスクによる他人資本の利率上昇と自己資本の要求利回りを加味した上で、企業の資本構成を最適化することを説明する上で加重平均資本コストの概念は必要不可欠となる。加重平均資本コストは以下の式により求められる。この式で負債コスト部分に実効税率が乗じられるのは法人税の計算上、借入金利子が費用と認められる一方で、剰余金の分配とされる配当が税務上の費用に該当しないことによる。
・有利子負債残高×負債利率×(1-実効税率)+自己資本残高×自己資本要求利回り
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 GNU Free Documentation License.
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