金利スワップとは

金利スワップ(きんりすわっぷ、英:Interest Rate Swap)とは、異なる種類の金利間で一定の想定元本,期間,利息交換日およびそのサイクルを決定し、一定のインデックス(変動金利→固定金利、固定金利→変動金利など)を交換する取引をさす。

== 概要 ==

* 一般的に、金利スワップは元本同士を交換せず、金利を交換する。そのため、金利算定のための元本、すなわち想定元本を決定する必要がある。
* 例えば、長期の変動金利型による借入契約(元本:10億円 借入期間:5年 支払変動金利(?):3ヶ月TIBORと連動)締結にあたり、企業にとって利息支払額(キャッシュフロー)の変動が何よりも回避すべきリスクであるとする。この場合、元々の支払変動金利の借入契約とは別に次のような金利スワップ取引を締結することで、金利変動リスクを完全に回避することができる。すなわち、

  想定元本:10億円 利息交換期間:5年(借入期間に連動) 受取変動金利(?):3ヶ月TIBOR 支払変動金利(?):固定(1.7%)

  金利スワップにより、借入による変動金利が相殺され(?+?)、常に一定の固定金利(設例の場合だと1.7%)を支払っているのと同じ効果になる(?)。この場合、デリバティブ取引することで、元々の借入負債に係る「変動金利」インデックスを「固定金利」インデックスと交換し、支払変動金利を固定化した例といえる。
* 企業が金利スワップを利用する目的は様々であるが、大まかには以下の2点がある。
金利スワップを利用した利得目的の場合。すなわち、将来の金利動向等をにらみながら、相場観に基づく取引などがこれにあたる。
リスクヘッジ目的の場合。すなわち、相場変動やキャッシュフロー変動は、望ましくない方向だけでなく望ましい方向にも変動するが、ヘッジ目的の場合、望ましい方向への変動自体もリスク(不安定要因)であり、このような変動自体はできるだけなくすのが望ましいとされる(なお、損失を回避することだけを目的とする場合は、相場観に基づく取引であり、本来ヘッジ目的とはいえないが、実務上しばしばヘッジ目的と同一視される例が散見される)。
* リスクヘッジ目的については、相場変動リスクヘッジとキャッシュフロー変動リスクヘッジの2つあるが、これらのリスク同時にヘッジさせることは不可能である。キャッシュフロー変動を固定化すれば、相場変動リスクに晒されることになり、反対に市場の相場変動に金利を連動させれば、キャッシュフロー変動リスクを免れないためである。キャッシュフロー変動と相場変動のいずれをリスクとみなし、ヘッジすべきかについては、ヘッジ対象や各企業の規定するリスク管理方針等によって異なる。

== 金利スワップの特例処理 ==

 金利スワップについては、他のデリバティブ取引と同様、原則時価評価が必要である。

 ただし、「金融商品に関する会計基準」(以下、金融商品会計)及び「金融商品会計に関する実務指針」(以下、実務指針)に定めるヘッジ会計適用要件(ヘッジ会計に係る社内規定整備等)に加え、実務指針178項の下記要件を満たす取引については、例外的に時価評価を行わず、デリバティブ取引の受払による純額等を当該資産または負債に係る利息に加減する特例処理が認められる。
金利スワップの想定元本と貸借対照表上の対象資産または負債の元本金額がほぼ一致していること(±5%以内であればよい)
金利スワップとヘッジ対象資産または負債の契約期間および満期がほぼ一致していること(±5%以内であればよい。例えば、ヘッジ対象の契約期間が10年の場合、6ヶ月以内の差異であれば、ほぼ一致とみなす)
変動金利の基礎となっているインデックスと対象資産または負債の変動金利の基礎となっているインデックスがほぼ一致していること
金利スワップの金利改定のインターバルおよび金利改定日と、ヘッジ対象の資産または負債の金利改定日がほぼ一致していること(3ヶ月以内の差異であればよい。ただし、プライムレートの場合、TIBOR等とは異なり一定期間変化しないため、特例処理の対象外) 
金利スワップの受払条件がスワップ期間を通して一定であること(同一の固定金利及び変動金利のインデックスがスワップ期間を通して使用されていること)
金利スワップに期限前解約オプション、支払金利のフロアーまたは受取金利のキャップが存在する場合には、ヘッジ対象の資産又は負債に含まれた同等の条件を相殺するためのものであること

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 GNU Free Documentation License.

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