人事院勧告とは

人事院勧告(じんじいんかんこく)とは、人事院が、民間企業に勤める労働者と一般職の国家公務員の給与水準を比較検討して、双方の給与水準の格差をなくすことを目標に、給与の改定を内閣と国会に提出(勧告)することをいう。

人事院は、これと同時に給与実態調査の結果などを踏まえ、国家公務員の給与や人事管理などについて必要な報告を内閣と国会に対して行うことから、これらを総じて「人事院勧告」と称されることが多く、一般に人勧(じんかん)と呼称される。

地方公共団体においては、人事委員会が設置されている場合は人事委員会から勧告され、それ以外は第三者機関による勧告の手続を踏まず、直接首長から給与条例の改正提案が議会に対してなされるが、いずれの場合も人事院勧告に倣うことが多く、加えて特別職の国家公務員の給与改定についても一般職の改定内容がベースとなるため、事実上公務員の給与水準を決める役割をすることになり、また、大局的には、消費経済の動向に影響を与えることになるので政府も重要視している。

1948年7月31日、<!--政令の題名は固有名称なので漢数字を数字に書き換えたり元号を西暦に書き換えたり西暦を括弧で挿入することはしないでください。-->「昭和二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合国軍最高司令官総司令部|連合國最高司令官書簡に基く臨時措置に関する政令」(昭和23年政令第201号)が公布・即日施行され、公務員の労働基本権|団体交渉権や労働基本権|争議権(ストライキ権)などの労働基本権が制限された。このように労使交渉で給与を決定できないために、それらの代償措置として、公務員の利益を守る役割を担っているのが「人事院勧告」である。

調査は5月1日から47日間、無作為抽出で選んだ事業者や従業員を対象に、都道府県・政令市などの人事委員会と共同で行う。

== 勧告から給与改定に至るまで ==
*勧告が自動的に実施されるわけではない。これは給与改定を行う場合、政府が給与法改正案を国会に提出し可決されることが必要となるためである。
*例年、「公務員の労働基本権を制限する代償として人事院勧告が行われているのだから勧告どおり実施するべき」とか、「厳しい財政事情の中、給与を引き上げることに国民の理解が得られない」など、様々な議論が繰り広げられる。人事院は前者の立場をとっている。
*近年は勧告どおり改定されることが多いが、過去には勧告見送り(改定なし)となった年や引上げ幅が抑制された年もある。
*近年は給与引き下げ勧告となった年もあり、その際は勧告どおり実施されている。

== 最近の動き ==
*人事院は、国家公務員給与改定勧告の資料となる民間給与実態調査について、1964年以来「百人以上」としていた対象企業規模を「五十人以上」へ、2006年に引き下げた。これにより2006年の人事院勧告は改定なしとなった。
*平成19年8月に国会及び内閣に提出された平成19年人事院勧告では、民間給与と公務員給与を比較した結果民間が公務員を上回ったとして、公務員給与の引き上げを勧告した(月給平均+0.35%、ボーナス+0.05月(+1.12%)、引き上げ勧告は6年ぶり。月給の引き上げは若年者のみ。)
*勧告どおり実施された場合、引き上げ後の大卒初任給は月額172,200円(都市部勤務の場合、物価水準に応じて地域手当が月額25,000円程度別途支給される)(一般例)。なお民間企業の大卒初任給平均は月額205,074円(日本経団連調べ)。
*勧告どおり実施された場合、引き上げ後のボーナスは月給の4.5月分(年額)となる。
*一部報道によると、政府は10年ぶりに人事院勧告の完全実施を見送る見込み。ただし近年の公務員志望者減少への対策として、月給の引き上げ(若年者のみ)は勧告どおり行われる見通しである。
*平成19年10月18日付日本経済新聞によれば、行政改革推進本部調査会が検討している内容の1つに、『人事院勧告』の廃止が含まれている。

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 GNU Free Documentation License.

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