このところ、いくつかの中小の加工先の指導をさせていただきました。
ほとんどの会社が、多品種少量の受注生産をしています。
これらの会社の経営者の方に、現在の材料価格の高騰をどのように考え、対処しているのかを聞いてみました。
材料を大量に買っている加工屋さんに対しては、材料屋さんもなかなか値上げしにくいものでしたが、今回は違うようです。
とくに、小ロットで材料を購入している加工屋さんの場合には、やはり取引をしている材料屋さんから早くに値上げが通知されていました。
とくに、レアメタルの一つであるニッケルを含んだステンレス鋼の高騰が、目立っております。
具体的には、一昨年の暮れから、昨年2月、5月、8月というようにどんどん値上げが続いています。
これに便乗しているのか、他の材料も値上げが出ています。
これは、中小の加工屋さんだけでなく、大手メーカの材料や部品を調達している資材や購買の担当者にとっても、大変な話ではないでしょうか。
このような中で、加工屋さんから取引先の大手メーカに対して、材料費の値上げをお願いすることになります。
この値上げは、材料費の値上げですので加工屋さんの儲けには、まったく影響しません。
しかし、大手メーカには、材料費の値上げをすべて認めるのではなく、企業努力によって吸収しなさいといって、一部しか認めないといったところもあります。
これは、賛否両論があると思いますが、今回の話の対象ではありません。
今回は、この値上げに対する加工屋さんの対応を考えたいと思います。
値上げに対して、多くの加工屋さんは、材料屋さんからの要求を認めざる得ないのが現状です。
そして、複数の材料屋さんからの相見積りをしたり、価格交渉をして値上げ幅を抑えるなどの努力を払っているところが多いと感じます。
その上で、客先に納入する部品ごとに採算性を考えて、客先との交渉を進めているはずです。
このような中で、ある特定の客先から一定量の受注を口約束ではあるにせよ獲得している加工屋さんがあります。
それらの加工屋さんに見られるのですが、材料の値上げを簡単に認めてしまうのです。
そして、客先には、材料費の値上げを一部でも認めてもらえればよいと考えているのです。
これは、加工屋さんの社長の頭の中に、これだけの売上げがあれば、うちの会社は赤字にならないという経験則を持っているのからなのです。
このため、材料費が値上げになっても、あまり注意を払って見ていないのです。
この結果、売上高は確保しているのに利益が出ないということになってしまうのです。
そして、会社が儲からない、客先への値上げも出来ないというジレンマに落ちってしまい、最後には、会社を閉めざるえないことになりかねないのです。
このようなことにならないためには、部品加工をしている加工屋さんでは、製品や部品ごとに採算性を十分に把握していくことが必要になるのではないでしょうか。
その上で、採算の合わない受注品をどうするのかの対策を考えるべきです。会社は、利益の獲得が第一の目的です。
利益について、もっと敏感であるべきではないでしょうか。
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