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エニアグラム活用事例

ジャイアン上司の成長 タイプ8対策

ある金融企業に勤務するGさんは、優秀な成績をおさめてきたリーダーである。

Gさんがその功績が認められ、経営幹部としてむかえいれるかどうかを役員会で検討したとき、Gリーダーにひとつの問題が発見された。

それは、本人のリーダーシップのとり方が圧力的で時には脅迫的だったため、多くの部下が共に仕事をすることに恐怖を感じ、離職や異動を申し出るケースが多かったということである。

脅迫的であった、とは「この取引が成立しなかったら、覚悟はできてるな」などである。  

このリーダーは、声の大きいジャイアンタイプ、タイプ8の豪腕型リーダーだった。


その時、タイミングよく人事部が管理職向け研修としてエニアグラムの学習を実施した。

管理職全員が1日を用いて、人間の気質について学んだのである。このときGリーダーは、自分の気質がタイプ8と言う分類に当てはまることを理解した。

自分の気質が理解されたことで、モチベーションのあげ方、部下とのコミュニケーションのあり方、リーダーシップのとり方、いわゆるヒューマンスキルのあり方に、他者に脅迫的、支配的特徴が常に色濃く存在することが分かったのである。

Gリーダーのヒューマンスキル問題に関する具体的な行動とは、会話をしているとすぐに相手の話を遮り、相手の話すことに注意を払わなくなることである。また会議中、大きな声で一方的に話すことで、他の参加者の意見が言いづらい空気を作っていた。

自説を通すために、相手に圧迫感や恐怖を与えていたのだ。エニアグラムを学習することで一般的にタイプ8がこのような行動を取ることは、理解したが、Gさんにとって、自分の問題に当てはまることとは、それまで全く自覚できていなかった。

その後、担当役員とGリーダーとの面接が行われたとき、この問題が率直に話し合われた。その結果、Gリーダー自らが自分のヒューマンスキルの問題について取り組むことを決意した。

具体的な方法としては、通常の業務の中でもし相手の話を中途で遮ったときは、はじめから相手の話を聞きなおすことを決めた。もし同僚や上司がこのことを見つけたときは、そっと目配せすることで協力してもらうことにしたのである。

また、他の、話しをよく聞く同僚を観察し、よく話を聞く効果と方法を学ぶこともコミットメントした。

この取り組みを続けて2週間後、大変なことが起きた。Gリーダーの片腕だった補佐役が辞表をGさんに突きつけたである。理由は、あることでGリーダーから叱責を受けたことが原因だった。

あることとは、書面上の訂正に関する些細な行き違いだった。しかし、Gリーダーは大声を上げて、机を叩きながら補佐役を叱ったのである。Gさんは、その時、非常にイライラしていた。

それは、自分が取り組むといったヒューマンスキルの訓練によるものだった。会話にいつも注意を払わねばならず、周りから常に監視されているような環境で、まるで自分が支配されているような恐怖を感じ、強い怒りの感情が湧いてきたのである。

この問題は、役員人事に絡むことでもあり、役員会で話し合われ、当人同士でも話し合ったが、結局は、補佐役が他社に移ることで決着した。

そしてGさんの経営幹部への昇格は見送られることとなった。Gさんはその後、身体をこわして手術、入院し、一時は家族から下の世話まで受けなければならなくなったのである。


その後Gさんは精神的なショックから通院が続き、長い休職を経て職場復帰した。しかし、この入院、休職によってGさんに大きな気づきと成長があったのである。

それは、家族の優しさであった。過去、Gさんは自分の怒りの感情が抑えられず、家族に手をあげてしまい、次女の耳の鼓膜を破ってしまったこともあった。

しかし、家族はそのようなGさんを手厚く看護し、支え、励まし、1年半に及ぶ闘病生活後、社会に戻してくれたのだ。Gさんはその時、いのちの大切さ、人の心を無視して生きてきた自分を深く思い知ったと、後に述懐している。

タイプ8の豪腕型リーダーは、常に自分がタフであること、どんな時も自分が強い存在であらねばならない、限界への挑戦を続けねばならないと感じているのである。

そして、自分が傷ついていること、弱い自分があることを認めず、内面の傷や弱さを他者に見せないよう、怒りの感情を使って絶えず外側を覆おうする。

しかし、厳しい闘病生活を経て得たものは、弱い自分を受け止め、傷ついた自分を優しく見守ってくれた家族だった。勝ち負けや支配欲求に振り回されて生きてきた愚かな結果、人間としてのコントロールをも失ってしまった自分への自覚だったのである。

職場復帰後、Gリーダーに対する周囲からの見方がまるで変わった。エネルギッシュな仕事ぶりは変らなかったが、身体に無理を重ねる部下にいたわりの言葉をかける、部下の家族への思いやりを示すなど、感情を表す人間的で暖かい側面を見せるようになったからである。

本人の中に、攻撃性、怒り、支配欲求がなくなったわけではない。しかし、自分と他を攻撃し、勝ち負けにこだわり過ぎる自分の間違いを腹の底で理解したのである。

と同時に得たものは、自分の内面に対する観察力だった。これは、エニアグラムの研修で教わったことだが、自分への観察が重要だということである。

気質が持つ内なる欲求が暴走を始めないよう、内面の変化を常に観察し続けることで、気質が持つ囚われ、ゆがみに振り回されず、自分をコントロールできるという事実である。

特にタイプ8は、自分の感情をおろそかに扱う特徴を持っている。自分の内面、特に感情を観察し続けるという意識は、リーダーが周囲と良い状態を作り出すことに高い効果をもたらしたのである。

その後、Gさんは経営幹部となり、現在、社長である。会社も大きく発展している。彼が最も変化したことは、「自分が常に周りを支配しなければならないという思いこみは間違いである」と、自覚できたことだった。

また、心の警戒を解き、自分の心を癒すことが出来るようになったこと。
さらに、恐怖を与える方法で相手を支配するのではなく、相手に安心と勇気を与える存在に変化したことであった。。

まとめである。

このように、豪腕型タイプ8リーダーの学習には、身体を賭して学ぶ実体験がどうしても必要である。

対話、机上・書籍での学習、強制、他者からの情報などは、ことごとくはねつけられる。必要なことは、体験である。しかし、そこにはタイプ8を理解したガイドに沿う必要がある。タイプ8を見守り、本人に必要な経験を経た後、自分への観察を続ける大切さを知らせることである。

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コンテンツ協力:株式会社エニアグラムコーチング

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