着想力を鍛える
(事業革新力、どのように育てますか)
「開発力の強化」、前回のテーマです。前回は開発力を強化する4ステップを取上げ、この中の「開発指針の構築」を概説しました。
今回は、第2ステップ「着想基盤の整備」を取上げます。 着想を豊かにし、効果的な事業革新を進めることを、単に個人の才能や努力に委ねるだけでなく、組織的に計画的に人材を育成し、結果に結びつけるための仕組みづくりが求められます。
何を、どうすれば良いのでしょうか?
価値ある情報に接し、より広く、より深く思考する習慣を持つ。 当然のことであり、最も基本的なことではありますが、実行し、定着化させることは、なかなか難しくもあります。
********** より深く思考する習慣? **********
「より深く思考する習慣」、具体的には何をしたら良いのでしょうか?
自分では深く考えたつもりでも、上司からは差し戻し判決を受ける。サラリーマン生活の中では皆さん経験のあることと思います。
この言葉一つをとっても疑問は次々と湧いてきます。 トヨタ流改善活動「なぜなぜ5回」、より深く思考することを定着化させるための手法として、優れたものです。
人の活動を定着化させることは、優れたITシステムを作り上げるより難しい問題を含んでいます。 機械システムは一部の専門家が、一定の期間、集中することにより作ってしまえば、その内容は基本的に進化こそすれ、後退することはありません。
これに対して、職場の創造性を活性化させる活動は、そこで働く人達が主役です。 それも一部のその道の達人ばかりでなく、ごく普通の働く人達が対象となります。
複雑な手法や、煩雑な手法は一部の人達には対応可能でしょうが、多くの人達には受け入れられません。 それ故できる限り、単純な手法とすることが求められます。 また、逆に単純過ぎ、誰でも出来る程度の内容ですと、対応する人達のモチベーションは上がりません。
この「なぜなぜ5回」の手法は、トヨタ流「かんばん方式」同様に、基本とするところは極めて単純であり、理解しやすく、多くの人を巻き込み、定着させる活動には適していると言えます。
また、同時にその実行は、適度の難度を含むものとなり、推進参加者のモチベーション向上に寄与するものです。 問題の根本原因を追究する具体策として、「より深く思考する習慣」として、「なぜなぜ5回」は具体的で、理解しやすいものです。
**********創造的思考法 **********
では、改善策を思考する段階での「より深く思考する習慣」はどのように形成することが出来るのでしょうか?
一般的には、創造的思考法を利用し、通常の思考では到達できないであろう域への到達手段を身に付けることが必要です。
創造的思考法の体系としては、�“�想をどんどん広げることを目的とした「発散型思考法」、��発散型思考で出てきたアイデアを纏めるための「収束型思考法」、��これらを統合した「統合型思考法」があります。
多くの創造的思考法が、脳内シナプスの連結が無い、または極めて弱いシナプスの連結を促し、新しい思考へと導くものとなっています。 つまり集団思考による他人の脳の借用、単独思考による自己脳の未連結部への刺激、連結の顕在化がそれです。
代表的な創造的思考法としては、下記のものがあります。
1)発散型思考法
・ブレーンストーミング(BS)法
代表的な自由連想法として有名なもので、複数の人が自由な環境の基、目的を明確にしてアイデア出しに専念する集団思考法です。 1939年にアメリカの大手広告会社BBDO社の創業者であり、社長であるアルフレックス・F・オズボーン氏が自社社員と開発しました。
・チェックリスト法
これは強制的に物事を考えるための強制連想法として、皆さんにも馴染みのものですが、ここでも、オズボーン氏の9視点による「オズボーンのチェックリスト」は有名です。
・TRIZ法
1946年に旧ソ連海軍の特許技術者ゲインリッヒ・アルツシューラー氏が開発し、現在も進化を続ける強制連想法です。 現在必要とする多くの問題解決や新分野開拓は、その多くが既に解決されたものの中にあるとの視点から、世界の多くの特許を調査・分析し、解決手法を体系化しています。 各問題に対し、過去に出願された特許でどのように解決されているかをヒントにするものです。主に技術的な問題の解決を対象としています。
2)収束型思考法
・KJ法
東京工業大学名誉教授 川喜田二郎氏が考案した手法で、特定のテーマで出た多くのアイデアや意見を体系的に纏めるための手法です。
出てきたアイデアや意見を1事項、1枚のカードに記載し、類似内容のカードを順次まとめながら、全体像を作り上げる手法です。ボトムアップ型のアイデアや意見の吸収法として優れています。
・特性要因図法
別名「魚の骨図」とも呼ばれ、魚の骨状の図に原因と結果の関係を図解し、分かりやすく表現するための手法です。 原因の階層化と相関が分かりやすくなり、対策の重点化が図れます。
次に「価値ある情報に接し」、 思考の刺激を受けるには、外界からの情報が必要です。日々同じ環境に居ても、同じものを見ていても刺激を受ける人と、受けない人が居ます。
この問題は、別の機会に考えてみたいと思います。
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