コーポレートガバナンスの観点から、上場企業では、業績悪化の責任から役員の給与を一定期間「無報酬」あるいは「減額」することがあります。
中小企業では無報酬とすることはほとんどないように思いますが、業績悪化に伴って役員報酬を減額することは、よく検討されます。
このような場合、気になるのは役員給与の取扱いです。
今日は「定期同額給与」の判断についてのお話です。
定期同額給与についても一定の改定は認められています。具体的には
(1) 会計期間開始の日から3ヵ月を経過する日までの改定
(2) 地位変更など、やむを得ない事情(臨時改定事由)よる改定
(3) 会社の経営状況が著しく悪化、その他これに類する理由(業績悪化改定事由)による改定
の3点です。
もし、業績悪化の責任から役員の給与を一定期間減額する場合は(3)に該当すると思われますが、業績悪化もすべてが認められるわけではありません。
業績悪化改定事由について、「経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があること」としています(法基通9-2-13)。
この通達は、「経営状況が著しく悪化したこと」は一例に過ぎず、むしろ「やむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情」の方がより重要だとも解釈できます。
これについて当局では、「定期同額給与の意義は職務執行の対価として支払われるものであって、そもそも一定の利益連動給与については、別途定めがある」とした上で、「何ヵ月以上減額すれば定期同額給与と認めないというような決まりはないが、経営悪化による減額改定だと一般的に納得できような必要がある」と述べています。
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