経営診断をさせていただく場合、当然売上高が一番気になります。過去10年の間にどのような推移になっているのか見させていただきます。
しかし、この売上高というのは急激に回復させるというのは難しいです。自社の商品・サービスに問題があるのか、または業界動向が大きく変化しているのか調べる必要があります。何らかの対策を打ったとしても結果が出るのは、半年後、1年後です。
ところが、売上高よりも大事なものがあります。それは原価率と経費率です。こちらの数値というのは企業の体質を現わしています。業界平均の数値を下回っているということは、何か原因が潜んでいるはずです。それを除去しない限り再生は難しくなります。
原価率に関しては、まず毎月実地棚卸をしているかどうかです。在庫をどこまでしっかりと管理できているかで違ってきます。また、不良在庫の処分ができていなかったり、滞留在庫がカウントされていない場合など、しっかりとしたルールで一旦処理すべきです。
それと意外と大きな問題になって来るのが後からの値引き処理です。営業担当者が勝手に値引きをされます。それも個々の取引先ごとに異なる条件で値引きなどをするために結果的に原価が上がっているということがよくあります。
仕事を取ってきたい、数字を上げたいというのはわかりますが、会社のルールを逸脱してまで数字を追いかけると良からぬことが必ず起こってきます。だからそのような場合は、幹部会議を開き現状の値引き状況について正直に全部出してもらいます。膿を一旦すべて出し切ること。それに社内ルールをしっかりと作ることが大事です。
そうすると今度は、未収金の問題が出てきます。原価率や経費率が業界平均よりも高い会社は、未収金も多い傾向にあります。誰も処理できない、毎年膨らんでいるというのが一番良くないです。こちらも幹部会議を開き、全部正直に出してもらいます。時には、担当者からの説明もしてもらいます。
これからは売上高よりも未収金の多い会社の方が危ないと言われます。少しずつ処理しようと思っても上手く行きません。一気に処理をする方が良いと思います。1年だけ凄い赤字になるかもしれませんが、将来のことを考えるとそれくらいの英断は必要です。
また経費率も企業体質を現わしています。総勘定元帳をひっくり返しながら、どこが多いのか、何が多いのか経理担当者の方と一緒に調べます。
人件費については、一番最後に手を付けますが、その段階に行く前に昔からのお付き合いでやっているものにもメスを入れます。削れるものはすべて削る。ただし諸会費などは、すぐに退会できないものもあるため、実際の数値に現れるのは半年〜1年後です。
あと大事なのは、診断だけではダメです。幹部の方に集まっていただき、原価を下げる方法、経費率を下げる方法を一緒になって議論し、即改善をしていただきます。この会議は、数字に結果が現れるまで継続です。
上手く行く会社は、最初から全データを公開され、まず良くないものを処理しようとされます。それをせずして改革はないからです。
意味のある経営診断にするためには、実行まで行うこと。
少しずつ数字が悪くなっているならば、早めに経営診断をされ、早めに膿を処理された方が良いと思います。
ビジネスコラム提供者情報
- コンサルタント:経営
- 株式会社 武内コンサルティング
- 大阪府東大阪市長栄寺11-5-804
大学を卒業後、経営コンサルタントで知られる船井総合研究所で 17年間お世話になり、平成19年10月1日より独立・開業いたしました。 事業内容・行動内容は、中小企業様・個人店様対象の現場密着型の コテコテ経営コンサルタントです。 独立 …
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