[まくら話]
3.11の大震災から20日が経とうとしています。
被災された方々には心からお見舞申し上げますと共に、お休みしていたメルマガを再開したいと思います。
ザ・デイ・アフター。
震災の前と後で私たちの何が変わるのでしょうか?
震災の後を生きるためにどんなスピリットが必要なのでしょうか?
先日のアメリカの新聞に「GAMAN」という見出しが躍りました。
ジェイマン?
誰だ、その男は?
よく見るとこれは「ガマン」で、日本人の美徳をたたえ励ます内容の記事でした。
「ガマン」も「スシ」や「スモウ」と同じように日本発の国際語になったのです。
しかしその記事には多少の違和感を覚えました。
震災後のスピリットは「ガマン」ではないだろう、と思うのです。
「ガマン」と似て非なるものに「レジリエンス」という言葉があります。
私はいま日本人の「レジリエンス」が試されているのだと思います。
日本人が強みとして持っている「レジリエンス」とは何か?
今回はこぼれ話を含め、くそまじめに考えます。
[本題]
「レジリエンス」とは、もともとは復元力とか弾力性という意味です。
ゴムボールをギュッと握っても元の形に戻っていくような働き、強風にさらされた竹が折れずに、しなって元に戻るような働きをいいます。
つまり「レジリエンス」とは、逆境を生き抜く「しなやかな強さ」のことです。
ナチスの迫害下にあって強制収容所の絶望的な状況を生き伸びた人達は、希望とユーモアを忘れなかったと言われています。
いま日本の中に、不安・恐れ・悲観といったネガティブな感情が充満しています。
はたしてネガティブな感情を減らさなければ、人はポジティブになれないのでしょうか。
アメリカ心理学会元会長のM・セリグマンは、「ポジティブとネガティブとは、間違いなく両極の関係ではない」と言います。
「無理にネガティブな感情を減らす必要はない。普通以上の不幸を抱えていても、多くの喜びを得ることはできるのだ」と。
私は、震災後の避難所でトランプをして笑顔がこぼれている子供達の写真を見て、希望を感じました。
1日に2個しか食べられないおにぎりなのに「今日は五穀米のきれいな色のおにぎりが食べられた」と感謝しているご老人がいました。
震災前はテレビゲームばかりで人と関わろうとしなかった中学生が、避難所では率先して人を助け、自分で考えて動けるようになったと、我が子の成長を喜んでいる母親がいました。
これらは単なる「ガマン」とは違います。
「レジリエンス」は、耐え忍ぶ状況にあっても、その中に少しでもポジティブなものを見出し、楽しさや感謝や喜びを感じられることです。
これこそが日本人の我慢強さの本質ではないかと思います。
楽しさや感謝や喜びといったポジティブな感情は、幸福の構成要素です。
だから「レジリエンス」は、人に与えられた「幸福になる力」だと言えます。
そしていま日本人のその「幸福になる力」が試されているのだと思います。
[こぼれ話]
震災の前と後で何が変わったのでしょうか?
一つ挙げれば、主語がIではなくWeで語られるようになったことでしょう。
「わたし」ではなく「われわれ」。
今やオールジャパンという様相です。
そうやって国が一つになって対処しなければならない歴史的な事態であることは分かります。
しかしそうなりやすい国民性は「いつか来た道」であるようにも思います。
私自身もここまで主語を日本人という複数形にして書いてきました。
しかし一方で、そろそろ「わたし」という主語を取り戻さなければならないとも感じています。
そのためには問いが必要です。問いに答える思索が必要です。
今回の震災は、被災された方々にとっては、生の根本が揺るがされる体験でした。
ではそれによって、私の何が揺るがされたのか?
私が社会的責任として引き受けなければならないものは何か?
私は社会から何を託されているのか?
海岸に打ち上げられた幾千もの死体を思い浮かべてみる。そして耳をすます。
はたして私は何を呼びかけられているのか?
ちょっと哲学的になってしまいました。
しかしこういった問いに答えることで、私は「わたし」を主語として歴史に対峙することができるのだと考えています。
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