管理職と残業代（１）（うさみ労務管理事務所）

管理職と残業代（１）

課長には残業代の支払いはいらない？

管理職と残業代（１）

■今回は「管理職と残業代について」を解説します。　このテーマは耳にタコが出来るほど

　取り上げられていますが

　未だに多くの中小企業が労働基準監督署の調査で　管理職の残業代を指摘されています・・・。
■具体的にみてみましょう。　　一般的には会社の内部規定、就業規則等で

　「課長等の管理職には残業代は支払わない」　としている会社が多いようですが

　そんな単純な問題ではありません。
■それは、会社がいくら管理職として運用しても、

　それは会社内部でのことです。

　労働基準法で定める「管理職」とは

　別の問題です。　当然ですが、労働基準法での

　管理職としての形式を満たしていなければ、　残業代を払わなければなりません。

■労働基準法上での管理職とは言っても

　はっきり条文で規定されているわけではありません。　労働局の基本通達において　○経営者と一体的な立場で仕事をしている　○出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない　○その地位にふさわしい待遇がなされている

　となっています。
■しかし、これだけでは管理職の定義ははっきりしません。　そこで、話題になった

　日本マクドナルド事件（平成２０年１月　東京地裁）の判決がありますが

　第一審では「店長は管理職ではない」という

　判決が出て

　残業代の支払い命令が出ましたが

　会社側が控訴し、その後和解が成立したので

　上級審での判断がなされないまま終わってしまいました。

■そして、この裁判をきっかけに

　多店舗展開をする業種向けに　管理職の判断に対する基本通達が出ました。　＜多店舗展開小売業等の管理監督者性の判断要素＞　○職務、権限　　・店舗のアルバイト等の採用、解雇について権限あり　　・部下の人事考課に権限あり　　・勤務シフト作成に権限あり　　　　　○勤務　　・遅刻、早退等により減給されない　　・遅刻、早退等で人事考課が下がらない　○賃金等の待遇　　・時給換算した場合、アルバイト等より高額な金額をもらっている　　・時給換算した場合、最低賃金を超えている　以上の基準を満たしていたら、

　法的にも管理職と考えられます。

■しかし、このポイントを実際の会社に当てはめた場合　「中小企業の大半の管理職は裁判では認められないのではないか」　という意見がほとんどです。

■では、管理職に残業代を支払わなければならないのか？

　実務的にどう対応したら良いのか？

　などについては、機会を改めてお伝えします。

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