目標管理テーマの設定視点について
目標管理制度とは、通常業務としての業務とは別に自分である種の目標を立て
自分の裁量で実行し、実行結果を評価し、その結果として業務の質や自己の能
力を上げていこうとするマネジメントシステムです。
また、「個人目標→部門目標→全社目標」の達成手段でもあり、制度化されて
いる・いないに係わらず当然実施すべきものです。
しかし、これを人事評価制度の重要な要素として取り入れているのは、全社目
標の達成が企業の必須条件ならば、この実現を全社を上げてよりきちんと取り
組めるようにするには、制度化が必要だということからです。
また併せて、この実現に向けて取り組んだ結果は、当然のことながら社員の業
績として捉えるべきであるという考え方からきています。
※目標管理の本質的な意味については、当コラム掲載の「目標管理の本当
の意味」を参照下さい。
今回は、目標管理制度におけるテーマ設定の考え方・視点についてご紹介させ
て頂きます。
■目標テーマ設定の３つの視点
目標テーマは、原則として以下の３つの視点に基づき設定するとよいでしょう。
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〜業績（売上・利益・経費など）に直結する数値目標、又は、これらに強い因
果関係のある関連数値項目
��体質改善目標
〜品質・コスト・納期をはじめとする各種業務改善、システム・仕組み・制度
改善など業務の品質向上に直接又は間接的につながるもの。当社の信用度・
認知度・ブランド力向上などにつながるもの
�Ｇ塾篭�化目標
〜本人又は部下の能力向上目標（含むモチベーション）、新たな知識習得や資
格の取得につながるもの
また、テーマを設定する際には、下記についても考慮し設定することが必要で
す。
◎見える問題のパターン
〜すでに何らかの支障や不都合が発生（顕在化）している問題で、その解決に
向けて取り組むべき課題。
◎探す問題のパターン
〜業務ミスの増加、経費の拡大、売上の低下・・・など、何か問題がありそう
な状況にあり、探さないと「真の問題」は何かがつかめないような問題。
◎創る問題のパターン
〜今は順調だが、環境の変化や前提条件が変化すると、支障や不都合が発生し
そうな問題。すなわち、先々のことを見据えて先手を打っておく問題。
■テーマは本人の能力がベース
ちなみに、目標テーマの達成に必要とされる能力や知識を十分に考慮し設定す
ること大切です。
何故かというと、仮に、経験豊かで高い能力を保有しているＡ君と入社間もな
いそれほど経験もないＢ君の二人がいるとします。
この二人が、全く同じテーマのものを実践し、その達成度は、Ａ君Ｂ君共に
１００％であった場合、二人の評価を同様とみなしてよいのでしょうか。
おそらく、Ａ君はさほど努力しなくても結果を出し、Ｂ君は相当な努力をしな
いと結果は出せないでしょう。
テーマ設定の考え方のひとつとして、「本人が、今の能力をどれだけ伸ばすこ
とができるのか」といった観点で考えることが基本です。
ですから、本人の能力・ポジション・役割をベースに、その妥当性・必要性・
難易度を設定することが基本なのです。
■上司とのすり合わせを実施すること
また、目標テーマ設定後には本人と上司（会社）とでテーマの妥当性について、
すり合わせを実施します。
何故、すり合わせを行うのか、それは・・・、
業務の一環として目標管理を実践するわけですから、会社や部門の方針・目標
とあまりにもかけ離れたテーマを設定することは好ましくありません。
ですから、テーマやその進め方の妥当性についてもきちんとチェックする必要
があります。
本人はもちろんですが、会社や部門にとって意味のあるテーマ、意味のある結
果が実現できてこその目標管理制度です。
更に、人事評価と連動させますので昇給・賞与なども影響を及ぼします。
■すり合わせの着眼点
目標テーマ設定シートの作成では、
●「テーマ名、テーマ選定の理由、達成水準、難易度、完了期限、アクション
プランの要点」
といった項目が最低限必要となりますが、少なくとも以下については必ずすり
合わせが必要です。
≪項目≫ ≪す り 合 わ せ の 着 眼 点≫
◆テーマの妥当性
〜当該テーマは会社・部門の方針・目標とかけ離れていないか。また、本人の
能力・ポジション・役割に相応しいテーマか。
◆選定の理由
〜なぜ当該テーマを選定したのか、その理由（課題や問題点）が明確になって
いるか。
◆達成水準
〜テーマ完了時のアウトプットが具体的・定量的に整理されているか。
※アウトプットは、そのテーマにより「数値・作成物・状態・行動」などに
よって表現されますが、たとえ定性的であってもより具体的に整理するこ
とが、その後の確かな実践と正しい評価につながります。
◆難易度
〜現状の本人の能力や知識と、テーマ達成に必要とされる能力や知識を比較し
た場合のギャップの大きさで判断されているか。
◆ウェイト
〜重要度と緊急度の二つの側面からウェイトが適正に設定されているか。
◆期限
〜アクションプラン毎に完了期限は明確になっているか。
（プロセス納期の明確化）
※このような視点で作成された目標テーマの実践結果は人事評価に反映されま
す。
従って、良い評価を得るか否か（いかに実践するか）は、本人と上司との共
同責任ということにもなるので、双方ともに真剣に取り組むことが必要です。
※目標管理制度は、運用次第で会社の業績や風土、そして本人の能力向上に多
大な成果をもたらします。
ありきたりの制度ではなく、自社独自のオリジナルな制度の導入と運用こそ
が、今この時期求められるのではないでしょうか。
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【代表者プロフィール】 ◆山藤茂。経営コンサルタント。中小企業診断士。 ◆「人事制度と儲かる仕組み」実践会・「タイムマネジメント」研究会を主宰。 ◆?日立製作所（人事勤労部門）に１４年在籍しＨ３年に独立。 ◆近年は、「人材育成と儲か …
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