理念・ビジョン・行動規範から評価基準書(評価項目と定義)を作成する方法
人事評価制度の策定・見直しを実施する場合、まずはどのように制度設計すべき
かを、「狙い(目的と目標)、現行の課題・問題点、策定(見直し)の方向性・
ポイント」などの観点から整理し、その上で詳細設計を行います。
本コラムでは、評価基準書(特に評価項目と定義)を作成する視点を、「理念・
ビジョン・行動規範」から検討・整理するためのポイントを紹介したいと思いま
す。
これは制度の全体像の整理や評価基準書の詳細設計を行う際の大切な視点です。
(もちろん評価基準書の作成はこのような視点だけでなく、いくつかの複数の
視点で行います)
※以下の事例は、「人事評価制度策定ノウハウ習得講座・半日体験セミナー」
で、その詳細を事例演習としてご紹介しています。
(後述の「セミナーのご案内」を確認下さい)
理念とは・・・
〜自社の存在理由を定義したもので、哲学・精神であり、全ての意思決定の
よりどころ
ビジョンとは・・・
〜自社の将来のあるべき姿で、困難だが努力すれば実現可能なもの。単なる売
上や利益ではない。全ての意思決定はビジョンの実現に向けて行われる
行動規範とは・・・
〜理念・ビジョンの実現に向けた、社員のあるべきマインド・行動を定めたも
の
そして、これらをより具体的に仕事ぶりとして落とし込んだものが「評価項目」
です。
ですからこれらは連動しており、より好ましい仕事ぶりは最終的には理念の実現
につながっているのです。
それでは、評価基準書へと整理するための進め方はどのようなものなのでしょう
か。以下のとおりです。
●理念→ビジョン→行動規範
↓
●評価項目に落とし込むためのキーワードの整理
(≒より良い仕事ぶりのためのキーワード)
↓
●評価項目とその定義の整理
例えば、ある健康食品製造販売会社を事例として・・・
≪理念≫
〜新陳代謝を促進し全ての人の美と健康を応援します
≪ビジョン≫
〜小さくてもきらりと光るチャレンジカンパニーを目指す。
そのために、下記の5つの約束事を実現する。
・お客様への約束(お客様に信頼される企業を目指します)
・お取引先様への約束(切磋琢磨しお互いの発展を目指します)
・社員への約束(全員が成長できる環境を作ります)
・株主への約束(着実で継続的な成長・発展を約束します)
・社会への約束(コンプライアンスを順守し継続的な成長をもって貢献
します)
≪行動規範≫
〜より良い行動のための下記の「8つの問いかけ」を常に意識し仕事に励みます
・ユニークな商品作りのために遊び心と好奇心を忘れていませんか?
・学ぶ心を忘れずに向上に努めていますか?
・失敗を恐れずに常にチャレンジ精神を持っていますか?
・全体をイメージしながら行動を起こしていますか?
・・・他
上記の事例会社を例に、評価項目と定義を検討すると・・・
「理念・ビジョン→社員の行動規範」として展開していますので、理屈からいう
と行動規範のみで評価項目を検討すれば良いのでしょうが、実際は理念・ビジョ
ンも含めて評価項目を検討します。
●評価項目に落とし込むためのキーワード(≒より良い仕事ぶりのためのキー
ワード)について検討・整理してみましょう。
ビジョン(社員への約束=全員が成長できる環境を目指します)を例にとって
ご紹介します。
≪キーワードの設定≫
魅力的な仕事、自分の成長が実感できる仕事、上司からのサポート、公正な処遇
・・・などといった環境作りが大切ですが、これらを直接的に評価項目として設
定することはできません。
これらに必要な評価項目設定のキーワードは「他者支援・相互支援・部門生産性
・業務完遂・積極性・協調性」・・・などです。
≪評価項目と定義≫
そして、上記のキーワードから評価項目を設定します。
例えば「他者支援・相互支援」といったキーワードから、「部下育成力・部下指
導力」といった評価項目がイメージできます。但し、これらは主に管理職層の評
価項目です。
例えば、一般層ではこれをどのように評価項目として設定できるでしょうか。
一般層ですから「部下育成力・指導力」は少し違います。
「自己成長力」とか「自己改善力」はどうでしょうか。
これは、広い意味では育成・指導と同じです。自分で自分を育成・指導すると
いった発想です。以下のとおりです。
◇自己成長力(自己改善力)。その定義は、
〜他者の仕事ぶりの観察、他者からの指摘や指導などにより、自分の仕事ぶり
やマインド上の課題・問題を振り返り改善する(自分の問題を真摯に受容し
改善する)
あるいは「業務完遂」といったキーワードからは「業務遂行力・業務完遂力」
などが評価項目としてイメージできます。
これを「全員が成長できる環境」を踏まえて、全ての人が自分のミッションを自
覚した上で業務を完遂することができれば、これに越したことはありません。
従って、ただ単に「業務遂行力」ではなく、「役割・責任完遂力」とするとどう
でしょうか。
◇役割・責任完遂力。その定義は、
〜自分の立場で実施すべき事柄(≒役割)を認識し、求められるアウトプット
(≒責任)を実現する
ちなみに、これは「5つの約束」全てに通ずるものですので、定義をもう少し
工夫してもよいと思います。
次に、例えば「積極性」。
積極性とは「自らが自発的に行動を起こすこと」ですが、これに「問題認識力」
や「共有力」のような要素を入れることで、ますます「全員の成長」につながり
ます。
◇積極性。その定義は、
〜環境変化や人・仕事の状況変化を素早く察知し、関係者と共有し、フット
ワーク軽く対処に向けた行動をとる
いかがでしょうか。
一般的・標準的な評価項目・定義ではなく、自社人材の現状・課題や、会社とし
ての思いを反映したオリジナルなものを整備することが大切です。
点や基準(例えば5段階基準など)を整理されると宜しいと思います。
但し、上記の事例はあくまでもサンプルとして紹介させて頂きました。
また実際には、理念・ビジョン・行動規範を設定した当時の、経緯や経営者・
幹部層の思いなども考慮して検討する必要があります。
※自社には「理念・ビジョン・行動規範」がないと言われる方に・・・
〜決して存在していないわけではありません。明示されていないだけなのです。
例えば、どのような会社になりたいのか・・・など、必ず経営者としての
思いというものがあるはずです。この際ですから、人事評価制度の策定・
見直しを通じて、整理されるとよいのではないでしょうか。
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ビジネスコラム提供者情報
- コンサルタント:人事・組織
- サントウ経営事務所
- 千葉県柏市亀甲台町1−19−9
【代表者プロフィール】 ◆山藤茂。経営コンサルタント。中小企業診断士。 ◆「人事制度と儲かる仕組み」実践会・「タイムマネジメント」研究会を主宰。 ◆?日立製作所(人事勤労部門)に14年在籍しH3年に独立。 ◆近年は、「人材育成と儲か …
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