人事評価制度策定の10のステップとそのポイント

人材育成と業績アップのための人事制度作り

人事評価制度策定の10のステップとそのポイント


人事評価制度は、処遇(昇給・賞与・昇格・昇進・適正配置・・・)決定の手段で
すが、本来の目的は「人材育成・職場の活性化・業績向上」です。

特に、人材育成と業績向上は企業にとって永遠のテーマであり、その方策も様々で
すが、多くの企業ではこの二つのテーマを同時に実現するための仕掛けやノウハウ
を持ち合わせていないのが実情だと思います。

このコラムでは、弊社がサポートする制度構築の手順と概要の基本パターンを、上
記の二つのテーマの同時実現といった視点から整理しました。

是非、ご参考下さい。


人事評価制度(評価・賃金・目標管理)の策定手順は以下の通りです。

【ステップ1】〜人事戦略の明確化
【ステップ2】〜現行制度の課題整理
【ステップ3】〜人事評価制度の骨子作成

【ステップ4】〜評価制度の策定
【ステップ5】〜賃金(報酬)制度の策定
【ステップ6】〜人事制度の枠を超えた諸課題の洗い出し・検討
【ステップ7】〜目標管理制度の策定

【ステップ8】〜規程・マニュアルの整備
【ステップ9】〜全体の見直し
【ステップ10】〜社内体制作りと試験的運用の実施


ステップ1・2・3は新制度の方針、狙い、現状の課題と改善の方向性などと共に、
全体概要を整理するステップです。
ステップ4・5・6・7は制度の詳細設計ですが、ステップ6は特に人材育成と業
業績向上の仕組みを検討するステップとなっています。

それでは、各ステップの概要についてご紹介いたします

 

【ステップ1】〜人事戦略の明確化


一般的な制度を作っても意味がありません。
制度策定の本当の目的は「人材育成・職場活性化・業績向上」です。
従って、

〃弍跳弉茵雰弍通槁検砲粒稜
⊃雄牋蘋の方針の確認
8従人材と実現したい人材像のギャップ並びに改善課題の整理

などの実施により、人材育成のための具体的な戦略と重点改善事項をきちんと確認・
整理した上でこれらを制度に反映させる必要があります。

 

【ステップ2】〜現行制度の課題整理


現行の制度内容そのものの課題と共に、社員の浸透度・満足度(不満足度)、更に
は人材育成や業績への貢献度などといった運用面に関しての現状分析を行うステッ
プで以下の事項について確認します。

仝醜圓寮度内容・運用方法の課題確認
現行制度の人材育成貢献度・業績貢献度の確認
人事制度・組織風土診断の実施・・・など

 

【ステップ3】〜人事評価制度の骨子作成


上記のステップ1・2を踏まえて、新人事制度の骨子を作成するステップです。
会社の戦略課題、部門別・階層別の人材課題と重点改善事項、制度(含む運用面)
の現状、人事・組織風土診断結果などを踏まえて、

/靴燭壁床繊δ其癲μ槁鹸浜制度並びに運用方法の概要の整理
⊃融評価制度と人材育成・業績向上の因果関係とその実現プロセスの整理

などを実施します。

例えば、人材課題の整理、現状制度とあるべき制度のギャップと改善策、評価制度
における部門別・階層別の重点評価要素(評価項目)と期待レベル、新賃金体系、
評価と賃金のインターフェイス、目標管理の考え方と適用範囲などなどを整理した
上で、新制度の構築・運用がなぜ人材育成や業績向上に結びつくのか、また、その
実現プロセスを整理します。

 

【ステップ4】〜評価制度の策定


制度骨子(ステップ3)の中の人事評価の部分を詳細に設計するステップです。

具体的には、「評価項目、評価項目定義、評価の着眼点、ウェイト、評価点毎の基
準(例えば、5段階評価ならば1〜5のそれぞれの内容)」などを検討・整理し、評
価シートとして作成します。
尚その際には、下記の3つの要件を考慮した上で設定していきます。

 ■評価項目は、自社の経営課題や人材育成課題が反映したものであること。
  そして、「成果の実現度(結果に対する評価)・業務の遂行度(プロセスに対
  する評価)・能力の啓発度(可能性に対する評価)」といった3つの観点から
  設定されていること。

 ■評価基準は絶対評価が可能であり、また、会社としての期待水準が明示され
  ていること。またその際、「できる・できない」で評価を行うのではなく、「でき
  たか・できなかったか」、すなわち「発揮能力」での評価が可能な基準とするこ
  と。

 ■評価項目や基準から、社員本人の現状とレベルアップ目標が自覚でき、具体
  的な改善テーマがイメージできること。

以上の3要件を考慮しつつ、下記の検討・整理を行います。

ヽ層別・部門別の当該業務の「遂行ポイント・必要能力・成果」の洗い出し
評価項目の選定と定義付け・基準作り
I床全霆狃顱壁床船掘璽函砲虜鄒
たη住餝陛級ランクの設定と等級別能力要件表の作成
タη住餝並侶呂虜鄒・・・など

尚、評価シートは階層別・部門別に作成しますが、その理由は、各階層や部門によ
って会社としての期待事項が、「成果の実現度・業務の遂行度・能力の啓発度」と
もに異なるためです。

因みにこの評価シートは、期末・年度末の評価(考課)のためのツールといった側
面と共に、会社として改善・強化してほしい社員の能力・行動基準を表したものな
ので、日々の業務遂行におけるOJTツールとして、また、後々の各種の人材育成
施策の基本として活用します。

また、上記きイ録η住餝弊度を採用する場合に整備するもので、資格等級別に会
社として求める期待要件を整理した能力要件表を作成する必要があります。
但し、能力要件については、職能資格制度を採用するしないに係わらず社員のスキ
ルアップの具体的な方向性を明示することで、各種の人材育成施策に活かすことが
必要です。

 

【ステップ5】〜賃金(報酬)制度の策定


このステップでは、賃金(報酬)の体系・構成要素と比率・賃金テーブルなどを整
備・策定しますが、大切なことは評価制度との連動です。

評価結果をどのように賃金(報酬)に反映させるか・・・、例えば、評価結果に応
じた昇給額は、階層や資格等級毎にアップ率(額)を工夫する必要があるし、ケー
スによっては減額もあり得ます。


因みにこれらは、どのような賃金要素(職能給・職務給・業績給・年俸制・年功給
など)を選択するかによっても左右されます。

そしてまた、昇給原資の配分の問題もあります。

更に、売上・利益計画との関係で人件費をどの程度確保すべきなのか、どう管理し
ていくのかといった人件費総額管理の仕組みの整備も重要です。

その他にも重要な検討事項は様々ありますが、このステップでは下記のような事項
について検討・整備していきます。

…其眤侶蓮賃金構成、賃金形態の整理
賃金支給方法の整理と評価との連動方法の整理
昇進、昇格基準の整理
ど床船僖拭璽麒未猟其皀轡潺絅譟璽轡腑鵑亮損
ジ醜堋其發反契度賃金の対比と是正方法の整理
人件費総額管理方法の検討・・・など

 

【ステップ6】〜人事制度の枠を超えた諸課題の洗い出し・検討


このステップは厳密にいうと人事制度策定のステップではありませんが、とても重
要です。

評価・賃金制度を検討していく過程では人事制度の枠を超えた様々な課題が顕在化
してきます。

例えば、全社目標や部門目標設定方法の妥当性、売上・利益の確保、会議体系のあ
り方、コミュニケーションの実態、組織風土の実態、責任と権限の現状、管理者層
のマネジメント力などなど、大変多くの課題が出てきます。

また更に、ステップ4で整理する評価項目の定義・着眼点・基準がどんなに具体的
に整理できたとしても、それだけで社員のレベルアップや業績に貢献するわけでは
ありません。様々な仕掛けといったものが必ず必要です。

例えば、仮に「業務改善」といった評価項目を設定し、定義・着眼点・基準を具体
的に整理したとしても、実際に業務改善を社員が積極的に実践するための動機付け
の仕掛けや環境作り、更には、実践ノウハウといったものが必要となります。

これらがある程度きちんと整備されていないと、業務改善といった評価項目は単な
る評価のための項目となってしまい人材育成は実現できませんし、数値的な成果も
出ません。

そしてこれは、他の評価項目、例えば「目標売上(利益)達成度・納期短縮・問題
発見力・部下指導・・・」などなど全ての評価項目についても同様のことが言えま
す。従って、

.好謄奪廝気泙任妨穏濂修靴申課題の整理、改善の優先順位付け、仕組み作り
⊆勸が高評価を得るための(≒会社の期待事項を社員が実現するための)仕掛け
 の検討と整備

などを実施することで、「人材育成・組織活性化・業績向上」といった制度の本当
の狙いを実現するための「儲かる仕組みつくり」のネタを顕在化・整備します。

ちなみに、これらの取り組みは人事評価制度策定と同時並行的に実施することが望
ましいのですが、それが無理ならば、別日程をきっちりと組み検討・整備すること
が必要です。

 

【ステップ7】〜目標管理制度の策定


目標管理とは「個人目標→部門目標→経営目標」の達成手段であり、制度化されて
いる・ないに係わらず当然実施すべきものです。

また、これを人事評価制度の重要な要素として取り入れているのは、経営目標の達
成が企業の必須条件ならば、この実現を全社を上げてよりきちんと取り組めるよう
にするには制度化が必要だということからです。

また併せて、この実現に向けて取り組んだ結果は、当然のことながら社員の業績と
して捉えるべきであるという考え方からきています。

そして更に、目標管理は「P・D・C・A」の発想とノウハウがベースとなってい
ます。

どのような仕事でも、その規模や難易度に関係なく「計画」を立てます。
すなわち、どのようなアウトプットを実現するのか、そのアウトプットを実現する
ためにはどのような事項をどのような手段や方法で行うのかを整理し、その上で、
実行し、何か問題があれば改善のためのアクションを起こします。

要するに、「P(計画)→D(実行)→C(チェック)→A(アクション)」の管
理サイクルを回しながら目標テーマを実行するのです。

ですから、制度化されている・いないに係わらず、全社員が取り組むべきものなの
です。
従って、

〔槁鹸浜の全体像の再確認と整理
¬槁献董璽淦瀋蠅隆霆爐畔法の整理
実績評価の方法整理(評価制度との連動)
っ成管理の方法整理と業績・人材育成度合の指標化検討

などを実施します。

 

【ステップ8】〜規程・マニュアルの整備


このステップは、主として評価・賃金・目標管理における制度規定とその具体的な
運用マニュアルを作成します。

 

【ステップ9】〜全体の見直し


個々の制度や、制度を構成する個々の機能や基準に問題がなくても、人事制度全体
を一つのシステムとして捉えた場合、様々な解決すべき問題が発生する場合があり
ます。
すなわち、部分最適と全体最適のギャップをチェックし修正するステップです。

 

【ステップ10】〜社内体制作りと試験的運用の実施


ここでは、主として下記を実施していきます。

/契度の全社説明会、意見の吸い上げ
評価者訓練の実施
L槁鹸浜運用のためのノウハウ習得
け人僂稜間日程の作成と役割の明確化
セ邯嚇運用(仮運用)の実施・・・など

尚、,砲弔い討亘椒好謄奪廚能蕕瓩銅勸に説明するのではなく、制度作りの節目
節目で、策定の進捗状況と内容を伝え、意見の吸い上げを行うことが大切です。

△良床措垠盈の目的は、人事評価制度の内容を正しく理解し、被評価者(評価さ
れる側)の正しい評価を行うこと、そして更に、被評価者の業務遂行能力の現状と
課題を適切に把握し指導育成することです。
この二点がより確実になされることが制度運用面においてはとても重要になります。

または、目標テーマの達成管理手法をきちんと学ぶことで、個人と組織の業務生
産性向上を実現して頂くことが大切です。

   

   

以上が人事評価制度策定のステップと概要です。
尚、実際の策定時においては上記のステップ(順番)に拘らず、状況に応じて順序
の変更、複数ステップの同時検討など、柔軟に対処することが大切です。

また、いくら詳細に制度を策定しても、運用が困難であったり、風土にそぐわなか
ったり、社員の理解が得られなかったり・・・と、自社の実態とかけ離れてしまう
と、全く意味がありません。

可能な限りシンプルであり、社員のモチベーションや能力アップに寄与し、会社の
業績アップに寄与する制度作りを目指すことが重要です。

    
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【代表者プロフィール】 ◆山藤茂。経営コンサルタント。中小企業診断士。 ◆「人事制度と儲かる仕組み」実践会・「タイムマネジメント」研究会を主宰。 ◆?日立製作所(人事勤労部門)に14年在籍しH3年に独立。 ◆近年は、「人材育成と儲か …

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