管理職人事評価シート作成の視点

管理者の3つの存在意義と評価制度との関連付け

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人事評価基準書(人事評価シート)作成の重要なポイントの一つとして、

・「どのような発想・視点で評価項目を設定するか」

といった問題があります。

 
基本中の基本としての発想・視点は、

・「自社の経営課題や人材課題と表裏一体となった評価項目を設定する」

ということです。

これは、弊社のコラム記事でも何度かご紹介している発想・視点なのですが、今回は
少し違った発想・視点で評価項目を考えてみたいと思います。


まず、人事評価基準書(人事評価シート)を策定する場合、通常の作成パターンと
して、

・部門別(又は職種別)に作成する場合
・階層別(一般層・管理者層・上位管理者層、又は等級別など)に作成する場合
・上記二点の複合で作成する場合

がありますが、今回は、階層別、特に管理者層の人事評価基準書を策定する場合の
評価項目の設定の発想・視点についてご紹介します。

どのような発想・視点かといいますと・・・

・「管理者の存在意義と連動させて評価項目を設定する」

といった考え方です。


それでは、管理者の存在意義とは一体何なのでしょうか?

管理者の存在意義には三つの視点があります。


〃弍勅圓ら見た管理者の存在意義

部下から見た管理者の存在意義

自分自身から見た管理者の存在意義

 

 
〃弍勅圓ら見た管理者の存在意義とは

 

経営者にとって管理者とは自分の分身です。
経営者は会社の存続・発展に係わる意思決定と会社の将来の方向づけに多忙であり、
管理者や一般社員と同様に日常業務に直接携わることはなかなかできません。

そこで、経営者は、管理者に自分が考えていることを的確に察知してもらい、自分
になり代わって日常業務を遂行してもらうことを求めています。

ちなみに、経営者の分身としての管理者の姿には三つの段階が存在します。

・メッセンジャーボーイ的管理者
 〜経営者の指示をそのまま部下に伝える管理者
・広報マン的管理者
 〜経営者の出す指示の中から、経営者の言わんとしていることを咀嚼して、部下
  が仕事をしやすいように説明・指示をすることができる管理者
・業務責任が果たせる管理者
 〜経営者が不在のときでも経営者になり代わって物事を考え、処理することがで
  きる管理者


管理者の能力の高さは、彼がどの程度経営者の代行ができるかで決定されます。
経営者の指示をそのまま部下に伝えるだけでは、何かの困難が発生した場合、業務
が停止されてしまう虞れがあります。

従って、業務の円滑な遂行のため、あるいは管理者自身の成長のためにも、今自分
はどのレベルの管理者であるかを知り、常に今以上のレベルに達するよう努力し続
ける必要があります。

 

 
部下から見た管理者の存在意義

 

部下にとって、管理者とは仕事・生活の両面における指導者であり、同時に良き理
解者でなければなりません。

若き部下、特に新入社員にとって会社での生活は未経験であり、会社での物事の考
え方、接し方は皆目見当がつかないものです。

彼は分からないことがあれば周囲の人に尋ねたり、周囲の人の言動を見て自分自身
の身の振り方を考えていきます。

このとき、彼がもっとも注目する人は管理者なのです。
管理者は業務が円滑に遂行されるように部下に仕事を割り振り、部下が業務遂行上
支障をきたさないように指導・教育します。

部下が自分の身の振り方を考えるとき、また判断基準を求めるとき上司である管理
者の言動に注目したり、助力を求めるのはごく自然の成り行きといえるでしょう。

管理者には、部下が早く正しい行動がとれるようによく考えて、指導・教育してい
くことが求められます。

 

 
自分自身から見た管理者の存在意義

 

管理者としての自分にとって、管理者とは一体どのような存在なのでしょうか。
人によってさまざまな管理者観があると思いますし、「上司と部下からの板挟み」
という声が聞かれないわけではありません。

しかし、管理者としての自分自身のこれからの人生を考えた上で答えるならば、

・「事業家に向けての一過程の期間」

であると言えるのではないでしょうか。

もちろん、管理者の方に事業家として独立を勧めているわけではありません。
要は、目標を明確にしてその実現に向けて常に自己成長を続けるための一過程
(プロセス)であるということと同義なのです。


以上が、管理者の存在意義の三つの視点です。

そして、管理者としての意義(価値)をこのように定義付け、三つの存在意義の
最大化を自社の管理者に求めるならば、選定すべき評価項目や期待要件は今までと
はまるで変わったものになるはずです。


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■《情報処理A社の場合》

 
〜「責任感」「チームワーク」「積極性」といった評価項目を廃止し、新たに
 「戦略の実践度」と「付加価値業務の見極め」といった評価項目を設定。


旧評価制度での「責任感」「チームワーク」「積極性」の評価項目の定義は下記の
通りであり、この定義に則って基準を5段階に展開(5段階展開は割愛)している。

・責任感   〜自己の担当業務において、どのような困難が生じようとも決して
        あきらめることなく最後までやり抜いた。

・チームワーク〜自己の意見や都合に固執せずに、常にチーム全体の生産性を意識
        した最善の方法・手段で仕事を行っていた。

・積極性   〜困難な仕事や未経験の仕事にも積極的にチャレンジし自発的に取
        り組んだ。


新評価制度ではこれらを廃止し、新たに「戦略の実現度」「付加価値業務の見極め」
を下記の通り設定。

戦略の実践度〜会社の戦略と自分の担当業務で実現すべきアウトプットの関係を
        整理した上で、当該アウトプット実現に向けて主体的に取り組ん
        だ。

・付加価値業務の見極め〜自分の担当業務の優先順位を、チーム全体の付加価値と
            いった観点から適切に見極めることができた。

※実際の定義はもう少し詳細に整理されているのですが、ここでは意図が損なわれ
 ない程度に編集しています。


責任感、チームワーク、積極性といった評価項目はとても大切な項目ですが、執務
全般に対する態度・マインドに関する評価項目であり、本来の意図や基準が抽象的
になりがちで評価結果にもバラツキが生じやすいといった課題があります。

従ってこれを廃止し、新たに「戦略の実践度」と「付加価値業務見極め」といった
評価項目を設定されたわけですが、これはA社の経営課題や人材課題と表裏一体と
なった評価項目であると共に、「管理者の存在意義の向上」をとても色濃く反映し
た評価項目です。

評価基準の展開は割愛していますので理解しづらい部分もあるかもしれませんが、

例えば、「戦略の実践度」は、会社戦略を正しく共有すること、会社戦略と自己の
業務を関連付けること、アウトプット実現に向けて遂行プロセスを整理すること、
主体的な行動をおこすことなどが前提です。

また、「付加価値業務の見極め」では、自分が管理者として本来やるべき業務も含
めて業務のたな卸しを実施すること、付加価値業務や付加価値準備業務を整理する
こと、プライオリティ管理を行うことなどが前提です。

また、管理者として本来やるべき業務とは、部門生産性や部門管理などと共に、当
然ですが部下の育成も含まれます。

ですから、これらの評価項目の意図や狙いを十分に理解し業務を遂行することがで
きれば、管理者としての存在意義は大いに高まります。

但し、個々の管理者が正しく意図や狙いを理解したとしても、それで本当に期待通
りの仕事ができるのでしょうか。

「頑張れ」の掛け声だけでは成果は出ません。やはり、会社としてのサポート(仕
組み)が必要です。

実は、A社は評価項目の変更に先立って「管理者の存在意義」についてかなり議論
されています。

そしてその上で、会社戦略共有のための勉強会や社長による管理者の活動状況レビ
ューなどを仕組みとして整備されています。

また、管理者の業務生産性を「自己業務の生産性、部門業務の生産性、部下育成生
産性(育成状況の指標化)」といった視点で判定できる仕組みを開発され実践され
ています。・・・・・


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どのような発想・視点でも、評価制度で求めるものは人材育成や業績向上なのです
が、管理者の存在意義といった観点から考えると、また一味違った評価項目が見え
てきます。


・・・【補足】・・・

人事評価基準書(評価シート)を作成後にあらためて振り返ってみると、求めてい
るものがハイレベルでなかなか実現できそうにないとか、当社の実態とかけ離れた
ものになっている、ということがよくあります。

この場合、原点に立ち返って見直しが必要ですが、一方で、実際の業務に当てはめ
様々なケースや実例での検証や更にはベンチマーキングによる検証などで、これら
の問題が解消される場合も多々あります。

上記A社事例の場合も、「戦略の実践度」や「付加価値業務の見極め」の基準を活
字として読むと、かなりハイレベルな内容ですが、上記のような検証や評価者トレ
ーニングにより、解消されています。


誤解を恐れずに言いますと、理想とする「あるべき仕事の進め方」を評価制度で整
理した後に、現状の仕事の進め方を改めるといった発想も必要なのではないでしょ
うか・・・。

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