【人材育成の仕組みと業績向上の仕組みを組み込んだ人事評価制度とは】
今回より計6回シリーズで人材育成と業績向上を実現する人事評価制度について、ご紹介
致します。今号のテーマは下記の第1回目のテーマです。
第1回目:人事評価制度と企業競争力の関係
第2回目:人事評価制度の3つの段階の価値
第3回目:人材育成の仕組み事例(第2段階の価値の獲得を目指して)
第4回目:業績向上の仕組み事例(第3段階の価値の獲得を目指して)
第5回目:スキルアップの状態を可視化する
第6回目:人事評価制度から何が見えるか、見るべきか
誤解を恐れずに言うならば、人事評価制度は業績向上が狙いです。と言っても、決して人材
育成をないがしろにするわけではありません。
会社の戦略を“人”といった観点から具体化(制度化)して、それを支えて(運用)、結果
として新たな付加価値を実現するものが人事評価制度なのです。
ですから、「人材育成」だけで安心するのではなく、その先の「業績向上」までも求めるの
が人事評価制度です。
大切なのは、理念・ビジョンに適うこと。そして、それが社員の行動規範・指針に落とし込
まれ、あるべき仕事ぶりとして整理され、それらが人事評価制度と連動していることです。
今回から6回にわたり「人事評価制度に人材育成の仕組みと業績向上の仕組みを組み込む」
ための視点・ノウハウ・実例を紹介させて頂きます。
自社オリジナルな制度を策定しきちんと運用しても、それだけで人材育成や業績向上が実現
できるほど単純ではありません。
“評価”といった単体の枠を超えた具体的な仕掛け・仕組みが必ず必要です。
第1回目では、これらの実現に必要不可欠な考えとして「企業競争力との関係」を4つの視
点からご紹介致します。
(1)組織対応スピードは企業競争力を決定づける
人事評価制度は、企業競争力強化に必要不可欠な制度です。
特に、企業間競争は「正しい戦略の保有と、それを実現する組織対応スピード」で決定付け
られます。
「正しい戦略の保有」については別の機会に譲るとして、注目したいのは組織対応スピード
です。
経営者・管理者も含めた全ての社員の業務対応スピード(マネジメントスピード)です。
例えば、今までの半分の時間で、
・「意思決定ができたり、顧客のニーズに対応できたり、商品・サービスが開発できた
り、納品ができたり、社員のスキルアップができたり・・・」
このような状態を作り出せば、企業間競争において圧倒的に優位に立つことができます。
(もちろん「半分の時間」とは言葉の綾で1割減でも2割減でも構いません)。
仮に「○○商品の新規開発を1年以内で実現する」といった戦略目標を掲げたとしても、こ
の実現に向けて、組織としてどれだけのスピードで対応できるかが大きなポイントになりま
す。
1年以内に実現できなければ、多大な機会損失を蒙ってしまいます。
それどころか、ライバルとの競争にも負けてしまうかもしれません。
だからこそ、組織の対応スピードは生産性に大きく影響し企業競争力を決定付けるのです。
そして、組織の対応スピードを徹底的に高め、仕事の生産性を上げるための手段として「人
事評価制度」があるのです。
(2)経営戦略の中心に社員の自己実現目標を据える
人材育成戦略は会社の経営戦略実現のための手段として整理するものです。
そしてこの人材育成戦略を補完する手段として社員の自己実現目標があります。
要するに、経営戦略実現の手段としての人材育成戦略、人材育成戦略実現の手段としての社
員自己実現目標があるのです。
ところで、この発想を180度変えるとどうでしょうか。
すなわち、経営戦略も人材育成戦略も、社員の自己実現をサポートする手段として機能させ
るという発想です。
経営戦略の中心に社員の自己実現目標を据えるのです(だからといって会社の業績目標や社
員のスキルアップを疎かにするという意味ではありません。業績数値の獲得もスキルアップ
も徹底してこだわることは当然です)。
自分の自己実現目標の実現を目指して、強烈にモチベートされた人材、仕事に生きがいを感
じ仕事を楽しめる人材、人生の可能性にチャレンジできる人材がいて、その上でこれらの社
員の仕事ぶりを本当の意味での公平感ある評価と改善支援でサポートできれば、人も組織も
必ず活性化するはずです。
そして、人材育成が実現し「高付加価値企業」へと大きく前進できるはずです。
(3)人事評価制度をリスク管理の切り札として捉える
人事評価制度では、会社の課題・人材の課題(先々で発生する可能性のある課題も含めて)
を整理し、それを評価項目として定め、その課題の解決につながる仕事ぶりを評価基準とし
て整理します。
要するに、先々で発生するであろう課題や問題の解決方向性や方法を評価項目と評価基準に
リンクさせます。
ですから、人事評価制度はリスク管理の手段としての機能があるのです。
例えば、評価項目「問題解決力」を例にとってご紹介しましょう。
その定義を「現状とあるべき状態のギャップを適切に認識し、ギャップ発生の根本問題を特
定化し、その解決に向けた改善策を整理し実行する」(この定義は一例です)とした場合、
このような仕事ぶりがキチンとできれば、おそらく先々で発生する障害事項(リスク要因)
は格段に減るのではないでしょうか。
すなわち、評価基準(≒あるべき仕事ぶりを示したもの)と自分・部下・部門の仕事ぶりの
実態を比較して、そこから課題・問題を見出し、先手先手で対応していくことができます。
人事評価はまさに自社の課題や問題の解決のヒントが凝縮している宝物(改善の宝庫)なの
です。
人事評価制度をリスク管理の有効な手法・手段として全社員が活用することで「リスクの先
取り→機会損失の防止→生産性の向上」という善の循環が回り始めるのです。
(4)人事評価制度から「何が見えるか、見るべきか」
人事評価制度から「何が見えるか、見るべきか」なのでしょうか。それは、
・「1年後・3年後・・・10年後の自社の課題であり、あるべき姿であり、そのギャ
ップであり、解決策」です。
そして
・「自社の経営理念・ビジョンに適った人材の姿」です。
人事評価制度の意義を徹底して掘り下げていくと、自社の人材育成戦略・経営戦略が見えて
きます。
経営戦略の中心に社員を置くことで、社員は自分の成長と会社の成長を同時に描くことがで
きます。
更に、今何が問題か、先々何が問題になるかを自分と会社の両面から自覚し、その解決に向
けた改善を日常レベルで行えるようになります。
すなわち、自分で自分の仕事のマネジメントができるようになるのです。
そしてこれらを「善の循環」として回すことで、自社ならではのオリジナルな人材育成施策
を展開することができ、自社の経営理念・ビジョンに適った人材が育成されるのです。
以上4つの視点から人事評価制度と企業競争力の関係についてご紹介致しました。人事評価
制度は運用が命です。
そして、運用の主役は社員です。上記の4つの視点が組み込まれた制度を、会社と社員の両
方で共有し運用していくことこそが「人材育成・職場活性化・業績向上」を実現する大きな
ポイントです。
ビジネスコラム提供者情報
- コンサルタント:人事・組織
- サントウ経営事務所
- 千葉県柏市亀甲台町1−19−9
【代表者プロフィール】 ◆山藤茂。経営コンサルタント。中小企業診断士。 ◆「人事制度と儲かる仕組み」実践会・「タイムマネジメント」研究会を主宰。 ◆?日立製作所(人事勤労部門)に14年在籍しH3年に独立。 ◆近年は、「人材育成と儲か …
組織・人材マネジメント
数年前の経済誌での中間管理職の特集記事に対して、以下の様な1読者からの投書がありました。「昔、接客業の店長と …
3つの改正点1.有期労働契約者の「雇止め法理(判例法理)」の法定化 最高裁判例で確立した雇止め法理が明文化され …
髭講師の研修日誌 �� 創業90年企業2社研修いたしました。大正12年創業以後幾多の厳しい環境を …
【講師紹介】 石川洋(いしかわひろし) 日本人材マネジメント協会JSHRM執行役員 アジア生産性機 …
組織戦略
最近は新聞やニュースでも多く取り上げられる「ブラック企業」というワード。 若者らの間ではブラック企業への関心 …
今、時代は次のステージへ新しい税理士法人の形を創りたい。 これから求められる税理士像は、人間力解決力提案力 「 …
コウモリの眼で意欲喚起の切り口を診る物事を診ていくとき四つの眼があります。一つは鳥の眼(大局的全体を診る)、二 …
「風が吹けば、桶屋が儲かる」因果関係について説明した江戸時代の有名な諺ですが、現在の日本についても、色々と当 …
会員メニュー
会員限定のメニューです
気になったページのMyリストへの登録や、経営に役立つ情報メルマガの管理など、さまざまな便利機能がご利用いただけます












ビジネス向けの無料性格診断で上司と部下の人間関係改善